「はぁー 凄い方ですね こんなに凄い肩書きを持たれているなんて、、、」
「まあ 肩書きはたまたまですよ どうでしょうか?」
「ええ 喜んでお願いしますよ」
神山は大森にオリンピックグラスの限定販売の件を話すと
「神山さん そのお話は良く分かります 私も考えていました
しかし この規模の工房では数をこなせないんですよ それにあの機械も
1台3千万円もしてとても2台目を入れる予定が無いんです」
「それでしたら あの機械を3台入れましょう 資金は私が出します
それと 工房の人材ですが どうでしょう 職業訓練生と言う形で雇い
技術が身についたら そのままここの社員として雇う どうですか?」
「えっ そんな 3台だと9千万円ですよ それを出資して下さるんですか」
「ええ ただし 私をここの顧問として迎えてください 勿論 最初から
お給料は頂きません 3台のサンドブラストが稼動してからで構いません」
「えっ そんな でもそうすれば私の描いていた夢が叶います」
「それから 機械3台分のほかに人件費など含め 1億3千万円を
投資します 私は1億 3千万円はここにいる杉田が投資します」
突然の出来事に杉田はきょとんとして言葉が出なかった
「社長 杉田君についても3台が稼動してからのお給料で構いません
それと 顧問デザイナーとしていただくとありがたいのですが、、、」
「はい 神山さんの言われる事でしたら ありがたくお受けします
神山さん お給料はおいくらでしょうか、、、?」
「うーん そうだ こうしましょう 3台が稼動して その個数がPCで
管理されていますよね そうしたら どうでしょうか 1客に付き
販売価格の5%はどうですか 杉田は3%でどうでしょう」
大森社長は電卓を持ち出し計算をして
「神山さん 分かりました お受けします お願いします」
「洋子さん 早速契約書を書いてください お願いします」
洋子はメモを取っていたので きちんと清書すると神山に渡した
「大森さん それではここにサインをしてください 正式な書類は後日
私の方から送らせて頂きます」
大森は洋子の書いた契約書を何回も見直しサインをした
顧問の神山と顧問デザイナーと記された杉田もサインをした
「大森さん あの機械を使うと一日に20客は彫れるでしょ」
大森は驚き神山を見て
「えっ はい 凄い観察力ですね あの機械で彫ったものだと 一日に
20客から25客はいけます 良く分かりましたね」
「ええ 工房の方の彫り方を見ていると大体の感じがつかめます
そうすると オリンピックのグラスはどんどんと製作できますよ」
話を聞いている大森の顔に少しだけ暗さが宿った
「ははは 大丈夫ですよ そのグラスはアレックスジャパンが全て買い取り
クリスタル大和には損が出ないようにします 大丈夫ですよ」
大森はその話を聞いて信じられない顔をしていたので神山は
「洋子 アレックスジャパン全商品買取の項目も付け加えてね」
「はい 畏まりました 正式な契約書には記載します」
「どうですか 大森さん」
「はい 本当にありがとうございます」
大森は神山と洋子 そして杉田に深々とお辞儀をした
蒼いBMWで銀座に戻る時 杉田が神山に
「先輩 3千万円って無いですよ もう どうするんですか?」
「ハハハ 安心しなさい 僕が全て出すよ」
「でも そんなぁー」
「ははは じゃー 翔が出せるのか」
「そうよ ここは常務に任せておきなさい でも凄いわね翔君」
「まあ 僕が催事課を居なくなって苦労しているから お詫びだよ」
杉田はそこまで言われると 熱いものがこみ上げてきて涙した
「翔君 良かったわね 頑張ってね ふふふ」
「、、、、、、、、、」
「翔 どうした 普段の元気が全然ないな おーい 大丈夫か」
神山は杉田が心から喜んでくれている事に満足しながら運転をした
「洋子 お昼は築地にしようか 翔もどうだ」
「せんぱーい ごちでーす でもテツも一緒でいいでしょ」
「うん いいよ 洋子 予約を入れておいて下さい」
3人が部屋に戻り神山は洋子に先ほどの契約書を製作するよう指示すると
「はーい もうすぐよ 3分待ってね ふふふ」
洋子は手早くPCで製作すると神山にチェックしてもらい
杉田を呼んで サインをしてもらうと神山に渡し
「翔 良かったな これで少しお小遣いが増えたね」
「先輩 ありがとうございます」
杉田は深々とお辞儀をしていると 部屋のドアフォンがなり
「すみませーん 屋敷ですが 先輩は居ますか?」
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