アレックスJrが紹介されると神山の手腕を褒め称え 杉田に期待した
「それでは 杉田翔さんのおめでとうで乾杯ー」
隣に座っている時田が翔に
「しかし美人だな 翔君 いい人を見つけたな」
「ええ これも神山先輩と田所先輩のお陰です なぁ美佳」
美佳は頷いて あまり話しの邪魔はしなかった
「池上君 杉田君の昇進を早めよう どうだね」
突然振られた池上店長は奥村課長をみて
「しかし 組合との話し合いもありますし、、、」
「おう 勿論外商の移動に乗っけるのは分かるが 早い方がいい 奥ちゃん」
振られた奥村課長は
「はい 影響はありません 店長と相談をさせて頂きます」
「おいおい ワシが早くしろって頼んでいるんだぞ
そうだ 10日の金曜日にしなさい いいね池上君 どうだね 山ちゃん」
神山は多分振られると思い考えていた
「はい 大変喜ばしい話ですので 早い方が良いと思います なぁ洋子」
「まあ 私に振って でも 判っているんだったら早い方が良いと思います」
「ほら 池上君 早く昇級させなさい ハハハ」
やり取りを聞いていた美佳は嬉しいのか 涙が出てきて
「もう 泣くなよ 嬉しい話だぞ 美佳 ほんとなきむしなんだから」
「だって 貴方の事をこんなに皆様から応援されているって 嬉しいわ」
「うん 僕も嬉しいよ でも泣くなよ もう ほらハンカチ」
杉田がハンカチを渡すと美佳は更に泣いてしまい 見かねた洋子が
「もうだらしないわね アルタを退職しますか
このくらいの事で 将来の旦那様に迷惑を掛けていいと思っているの
そんな根性を持っている人間はアルタには必要ないわ」
この言葉には 当人より涼子や由香里 ナタリーも驚いて聞いた
祝賀会の雰囲気が暗くなったが神山が
「今 洋子理事の言われたとおり 喜怒哀楽は出しすぎても駄目だ
逆に無いと困る 非常に使い分けが難しいが 一つ言える事は
旦那と居る時は 妻は影で支えなければいけない 主役は旦那だ いいね」
本社秘書室の秋山はこの話を聞いて
「美佳さん 私たち秘書って大変なのよ でもそれを表に出さないで
時田を支えるわけなの 少しきつい言葉だと思うかも知れないわ
でも 今のうちにきちんと理解してくださいね お願いしますね」
この話で友人の涼子が漸く口を開き
「美佳 今皆さんが言われた事って 大切な事よ 頑張ろうね」
折角泣き止んでいた美佳はこの言葉でまた泣いてしまった
「おい美佳 もう泣くなよ お願いだからさ」
「おう 杉田君 彼女が泣いているから 進級は取りやめだな」
この言葉に みんなが驚いたが 美佳は涙顔で時田に
「お願いです もう泣きませんから 進級取りやめはやめてください」
時田はこのときの美佳の顔を見て 頷いた
「分かった いいかね美佳さん 杉田君ほどの実力者はいつ何が起こるか
分からない その都度喜怒哀楽特に涙を見せていては 杉田君の心の
落ち着く場所がなくなるんだ 分かるね 今の思いを忘れないよう」
美佳は涙を拭かないで 時田の顔を睨みつけるよう真剣な眼差しで見て
「忘れません ですから昇進取りやめは却下してください お願いします」
美佳はテーブルに額が当るくらい深々とお辞儀をしていると杉田も
同じように深々とお辞儀をした
神山はここで纏めないと本当に昇進がなくなると思い お辞儀をしながら
「時田さん 美佳さんも私の部下です 今後は私からも注意しますので
杉田君の進級は予定通りお願いします この通りです」
この神山のお辞儀をしている姿を見て 池上店長や奥村課長など
催事課のみんなが時田にお辞儀をした
このとき更に驚く事が起きた アレックスJrが
「神山さんを苦しめるような社長と 一緒にGOLは出来ないよ
なぁー 涼子さん そうでしょ」
この言葉を聞いて副社長のジャックも
「そう 神山グランドマネージャーを苦しめるのなら 私もGOLの
共同経営には賛成できない ねぇナタリー」
神山はお芝居をしているのにも関わらず本気になったJrにどの様に
説明しようか迷っていると杉田が
「皆さん ありがとうございます 私は本当に幸せ者です
これからどの位時間がかかるか分かりません しかし美佳をもっと強い
僕の奥さんにします 進級はその後で構いません なぁ美佳」
このとき美佳はしっかりと杉田を見て頷いていた
「私も頑張るわ ごめんなさい」
時田はここだと思い
「よし 決まった 10日に進級だ いいね池上君」
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