2013年2月16日土曜日

Vol.952 紫陽花 -13-58



「まあまあ それは言いすぎだよ でもゼロより1円だよ」
「そうね ゼロだと何も出来ないですもの 凄いわぁー
美佳さん あんなに若いのに部長夫人ね ふふふ 可愛い夫人ね」
「うん 催事課での一言が効いたのだろうね 驚いたよ やめなさいって」
「ふふふ でもその位言わないと 治らないでしょ」
「そうだね 何しろ部長夫人だからな 大変だ」
「ねぇ あなた 権田さんに電話をするの 早い時間が良いわよ」
「すると明日は普段どおり出社して それから繊維協会だな 分かりました」
「私も契約書をコピーして 社長室に送れる様に準備しますね」
「そうだね事の経緯を説明すればFAXは不要だと思うが お願いしますね」
「そうね 分かりました」
「よし それではそろそろお開きにしようか」
「はい ご馳走様でした」

洋子はエレベーターに乗ると神山の頬に軽くキスをした
「ふふふ 元気になってくれたから もう一回キスね」
洋子は神山の正面に立つと唇にキスをして
「わぁー 久しぶりのキスだわ」
「おいおい そんなぁー 久しぶりかなぁー」
洋子は神山の腕を絡めると 嬉しそうにエレベーターを降りた
神山は洋子をタクシーに乗せると 歩いてスタジオに戻った
スタジオでは祐子が神山の帰りを待っていたが 昨夜のように暗い
神山だったらどう対応しようか落ち着かずに考えていた
「ただいまぁー おーい 祐子ちゃん 帰ったよぉー」
神山は門扉のインターホンで大きな声を出すと
「お帰りなさい 今 開けますね」
大きな門扉が開かれると 玄関まで歩くのが少し大変だった
玄関には祐子がにこやかな顔をして待っていた
「やあ ただいま 遅くなりました」
「お帰りなさい」
玄関を閉めると 神山は主賓室に上がる時に祐子に
「祐子 昨夜はごめんね 色々と考えたくて 一人にさせて」
「いいんですよ そんなに気にしないでください でも心配しました」
「そうか よーし 今夜は一緒に寝ようね」
二人は主賓室外にあるバスルームに入り いつものように戯れると祐子が
「どうしたの 今夜は凄く元気よ」
「ハハハ 元気が戻ったんだよ さあ 頑張ろう」
祐子は神山が明るくなった事と元気が戻った事を一緒に考えていた
バスルームでお互い果てると 主賓室では祐子が
「ねぇー 少しビールでも呑んで休みましょうよ 私 壊れるわ」
神山はビールを呑みながら 祐子に今日の出来事を掻い摘んで話をした
祐子は別に驚く事は無かったが 神山の仕事が上手く行くよう願って聞いた

7月4日 土曜日 雨                 ★★★★★
神山は祐子より早く起きると 庭に咲いている紫陽花の写真を撮った
先日よりは上手に撮影できたと思っていたが 大きなモニターで見ると
以前の写真よりピントは合っているが なにか物足りないと思った
色々と考えてみたが ボケ具合がカメラカタログと違うのを発見し
次回撮影からはボケを表現するよう心がける事にした
神山がモニターで紫陽花を見ていると祐子が起きてきて
「まあ 早いのね おはようございます」
「ああ 何か知らないが早く起きたよ ハハハ 元気が戻ったぞ」
神山が祐子のお尻を触ろうと追いかけると きゃぁーきゃぁー言いながら
スタジオの中を逃げ回った
「はぁー ほんと元気ね さあ朝ごはんの支度をしますから 待っていてね」
「そうしたら シャワーを浴びてきます お願いしますね」
「はーい ごゆっくりどうぞ」

シャワーを浴びてスタジオに下りると焼き魚の香ばしい匂いが漂っていた
「わぁ いい匂いだ お腹がぐぅーぐぅーなっているよ」
「これね 実は箱根湯元で買ったお魚なのよ 食べてみて」
「えっ そうすると10日以上も冷凍していたの」
「ええ 大丈夫よ 早く食べて ねぇ」
神山は言われるまま一口食べたが
「うん 凄く美味しいよ 凄いね今の冷凍庫って」
「だって 小さいけれど業務用でしょ だから冷凍温度が一定なの」
「そうか 業務用って凄いね」
「まぁ 今まで知らなかったの 困った人ね」
「だって そんなに気を使わないじゃないか だからお任せだよ」
「そうね 一般家庭用の冷蔵庫って高いけれど 冷凍庫に関して言えば
絶対に業務用がお勧めね ふふふ 早く食べてね」
「わかった 理由はそこだね うん 覚えておきます はい」





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