「山ちゃん 分かりました でも 本来大竹組がデザインしてもいいし、、」
「そうそう でもね グローバルな観点からすると やっぱりアルタでしょ
そうでなければ 纏まりがなくなるよ」
「しかし 山ちゃんってどこまで凄いんだろ 付いていけませんよ」
二人は顔を見合わせ笑った
次長席に戻ると洋子にクリスタル大和の業務成績を調べてもらった
「ねぇ あなた 大森さんのところって 堅実で利益は凄いわよ」
洋子は株式情報だけではなく クリスタル大和の仕入先会社や
その会社の情報まで調べ上げた
神山はその報告書を見て驚いたのは グラス工場の代表が大森の身内で
更にグラス工場にグラス主成分を納品しているのも大森の身内だった
「そうすると 居酒屋さんで食べる 焼き鳥の最初から最後までを身内で
生産していることになるんだね」
「ええ 凄いわね それで変な噂はないし ほんと堅実なグループよ」
神山は時計を見るとまだ11時だったので神山は暫く考え
「洋子 翔と一緒にそこの会社に行こうかな 翔に電話をしてもらえるかな」
「はーい でもなぜ一緒なの?」
「うん まあ会社見学だよ 自分の引き出物を作っている会社を見ても
いいでしょ 勉強さ」
洋子が催事課の翔と連絡を取ると
「大丈夫ですって 凄く喜んでいるわ」
洋子はニコニコしながら神山に伝えた
「うん そうしたら住所は恵比寿ガーデンプレイスの近くだから首都高の
目黒で降りればいいね」
「ええ その方が近いですね」
「そうしたら 行きましょう」
次長室を出ると催事課の杉田は深々とお辞儀をして神山と洋子に挨拶をした
蒼いBMWに乗ると15分もかからないでクリスタル大和の本社に着いた
「大森さん こんにちわ」
「驚いていますよ こんなに早く訪問してくださるなんて」
「済みません 我侭を言いまして、、、
時間が丁度良かったものですから そうそう今度 挙式で
使わせて頂く本人を連れてきました 杉田翔です」
「杉田です 先輩のお言葉に甘えさせて頂き 今回こちらのグラスを
引き出物に使わせていただきます お願いします」
大森は若い杉田をにこやかに向かえ
「一生懸命に創らせていただきますよ ところで杉田さん グラスに彫る
絵柄は決まりましたか?」
杉田は躊躇無く
「はい 決まりました」
杉田が顔を輝かせて返事をすると大森は社長室を出るて
グラスを彫っている工房へ案内した
工房ではオペレーターが一つ一つ丁寧にグラスに絵柄を掘り込んでいて
神山や翔はその職人芸に驚いていた
7人ほどいる工房を出ると大森が
「神山さん 先日お話した機械を紹介しますね」
廊下を挟んだ反対側の部屋に入ると 大きなガラスボックスの中でグラスが
支え棒で支えられ回転しながら 細かい砂の様なものを浴びていた
「これはサンドブラストって言いまして 細かい粒子の揃った砂をグラスに
吹きかけて掘り込んでいるんですよ この研磨が非常に手堀に近づいて
いるんですが 最終的には人の手を借りなければ 絵柄は彫れません」
大森の説明ではコンプレッサーの噴出し圧力をコンピューター制御し
掘り込み具合を調整する事は可能になってきているが 細かいところの
仕上げは人の手に委ねられるとの説明だった
「ところで社長 一人一日何客仕上げられるんですか」
「ええ 普通は5客から8客です」
「へぇー そうすると杉田の商品は充分に間に合いますね」
「ええ しかしそればかりではありませんので、、、済みません」
「いえいえ しかしPCを使えば大量生産できるじゃないですか」
「ええ でもお恥ずかしい話ですが オペレーターを外部から
呼ぶことになりまして 経費がかかるんですよ それに微妙な盛り上がり
など結構大変な作業のようで 徹夜でプログラムを組んでいます」
神山はPCオペレーターをアルタから出向させれば 経費はかからないし
今後 オリンピックのデザインでも通用すると思った
「社長 どうでしょうか 私のアルタの人材をPCオペレーターで
使っていただけませんか 人件費はアルタでもちます 如何でしょうか」
「えっ 本当ですか それは嬉しいですよ でも神山さんは鈴やさんでしょ」
神山は大森社長に名刺を渡し 掻い摘んで説明した
.