2012年12月29日土曜日

Vol.903 紫陽花 -11-56



タクシーでは神山が前に座ったので 女性たちは後ろでキャーキャーと
話していて 少し騒がしいと思ったが 何も言わなかった
鎌倉宮に着くと 神山は売店で缶ビールを買い求めみなに配った
「神山さーん 頂いて文句言えないんですが たまにはジュースとか
お茶が良い時もありますよ」
「うん 分かった」
そう言うと 売店で熱いお茶を3つ買い みなに渡した
祐子や由紀枝はクスクスと笑い 洋子は呆れていた
車一台が通れる狭い道を歩いていると 平山画伯のスタジオが右手に見え
更に少し歩くと瑞泉寺に着いた
総門で200円払い 石畳を進むと左右に坂が分かれていた
右側をゆっくりと登ると右手に竹林があり そこに紫陽花が咲いて
午後の斜光を浴び 花が生き生きと浮き出ていた
山門をくぐると 左手に鐘楼がありそこにも紫陽花が咲いていて
みなで記念撮影すると 休憩所で一休みした
ベンチに座りながら 傍にある紫陽花を撮影し楽しいひと時を過ごした
本堂裏の石庭を見学した後 鎌倉宮まで戻り タクシーを待った

「今日は紫陽花ばかりで とても楽しいわ 東京に居るとこうやって
時間が空いたら見ることが出来るなんて いいわね」
「うーん 逆に近すぎて余り見に来なくなったね
ほら 観光客が多いから 平日の方がいいし でも平日も多いかな」
「ふふふ 贅沢な悩みね 御殿場には無いわよ いいわね」
タクシーが来ると 神山は鎌倉駅に戻り 江ノ電に乗車した
極楽寺で降りると 極楽寺や成就寺を見て周り 鎌倉まで戻った

「さあ それでは紫陽花のライトアップを見ましょうね」
神山は国道134号線に出ると 左に海岸を見ながら走った
途中 江ノ島で給油をし 飛ばすが土曜日の午後なので
多少 混みだし西湘バイパスまでは ゆっくり走った
二宮ランプで西湘バイパスに入ると いつもの調子で走り
箱根湯元までは1時間も掛からないで到着した
神山は駅前で3人を降ろすと 近くの有料駐車場に止めた
みんなのところに戻ると 箱根登山電車の線路脇には紫陽花が見ごろで
3人ともデジカメで撮影をしていた
時間的に少し早く ライトアップまで乗車は待つ事にして撮影した
神山も3人をモデルにして 紫陽花を撮影していたが
「ねえ 神山さん なんで下からばかり撮影しているの 嫌だぁー」
「ほら 紫陽花が綺麗に入らないんだよ 普通に撮影すると
ちょこんと上のほうに写るだけだからさ それで下から撮ったんだ」
由紀枝はデジカメのモニターを見てみると 確かにそうで
「ふーん 分かりました ふふふ パンツを見たいのかと思ったわ」
その話を聞いていた 洋子と祐子は大笑いした
話していると 直ぐに暗くなり紫陽花にライトアップされた
3人は 綺麗といいデジカメでライトアップされた紫陽花を撮影した
「ねえ 神山さん どう 綺麗でしょ」
「私のも見て 綺麗でしょ」
神山は祐子と由紀枝の写真を見て頷いていると 祐子が
「神山さん 3人の写真を撮って」
デジカメを渡され 神山は少ししゃがみ 背景にライトアップされた
紫陽花をいれ撮影をした 
祐子や由紀枝が見に来て 顔が暗いのでがっかりしていたが
「分かった ごめん フラッシュを使います もう一度ね」
神山は先ほどと同じアングルでフラッシュをたき撮影すると
「わぁー 綺麗 ありがとうございます ふふふ」
由紀枝や祐子 洋子が納得してくれたので 電車に乗ることにした

電車は箱根湯元駅を出ると右側斜面に紫陽花が咲いていて
ライトアップされると 幻想的な世界に引き込まれた
ボックス席のマド側に祐子と由紀枝が座り 楽しそうに話しながら
紫陽花を撮影をしていた
洋子と神山はそんな二人を 微笑ましく見て洋子が
「良かったわね あなた ふふふ」
神山が祐子の方をみると 洋子はニコニコして頷いた
途中スイッチバックを2回行い 彫刻の森美術館が見えてきて
照明が夜空に映え 幻想的な世界を醸しだしていた
「わぁー 綺麗ね おとぎの国みたい あそこだけ別世界ね」
「そうそう ほんと綺麗ね あれでチカチカしたらクリスマスかしら」
神山は二人の話を聞いていて はっと思いついた
GOLで使えるかもしれない

電車は強羅駅に着き タクシーで ザ ホテル 強羅までいった
神山はフロントでTJカードを見せるとフロントが
「いらっしゃいませ 神山さま お待ちしておりました」





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