「えっ いいんですか?」
「じゃ 仕舞うよ」
「駄目っ 頂まーす ふふふ」
「何かあったら 携帯に電話をください いいね」
「はーい 行ってらっしゃい」
神山は蒼いBMWで銀座の次長室まで向かった
次長室には意外に早く着き 今日の打ち合わせ資料に目を通した
東都食品の単独打ち合わせで 予算だけの話し合いになるので
時間は1時間もあれば充分だった
洋子も直ぐに出勤してきて
「おはようございます この頃早いですね」
「うん 逃げているよ この間から調子が出ないんだ もう参った」
「ふふふ そろそろ 元気が無くなったのかしらね」
「それで 洋子 明日は泊まり出来るかな」
「ええ 大丈夫ですよ」
「うん 由紀枝を鎌倉に連れて行こうと思っている」
「わぁー 鎌倉かぁー 参った」
「どうした」
「ふふふ 母が鎌倉いくのよ 泊りがけで」
「わぁー なんだそれ 不味いな ねぇー」
「そうよね 見つかる確立は1万分の1としても 不味いかなぁー」
「そうしたら 由紀枝と同じような格好をしても駄目かな」
「そうしたら 余計に目立つでしょ 多分無理ね
だってまだまだ元気よ 目や耳はしっかりしているし 参ったなー」
「そうしたら お客様のアテンドってどうだ」
「うーん」
「うん 由紀枝のアテンドにしよう 由紀枝には英語で話してもらう」
「まぁ でも楽しくないでしょ どうかしら」
「由紀枝のアテンドなら 明日の晩泊まりでも理由が出来るでしょ」
「そうね そうしたら 今夜それとなく聞いておくわ
町内会の叔母さん連中でいくのよ 多分お昼ごろに紫陽花寺だと思うわ」
「そうだね 東京を10時に出ても11時に北鎌倉だよ
それとなく聞いてくれる それで明日は9時に渋谷でいいかな」
「ええ 先日のところで9時ですね 分かりました」
洋子が早くに連絡をしてくれたお陰で 東都食品は少し早めに来た
今日は田宮副社長 里香秘書 森和幸営業推進部長 佐久間隆志
営業統括部長 林敬子財務部長 とそうそうたるメンバーだった
洋子がコーヒーをみなの所に配ると神山が
「朝早くからありがとうございます 本日は東都食品としての経費
費用対効果などを詳細をつめ 12億の出資をお願いします」
神山は鈴や食品ブースの東都食品としての役割 地下共有部分の
費用対効果を分かり易く説明した
鈴や食品ブースでは ブースとしての管理は鈴や食品 生産については
東都食品が行う この場合ミニ工場設備は東都食品で準備すること
調理や衛生管理は鈴や食品が行うこと
「簡単ですが なにかありますか」
財務部長の林敬子が
「その場合の 東都食品のメリットは何ですか」
「ええ ミニ工場を見せていくのに 東都食品を訴求します
その美味しい食品をここで食べて頂いています などなどアピールし
美味しさ知名度を上げていくプランです 例えば田宮副社長にご提案した
野菜缶詰は東都食品で製造しています これも訴求します」
「そうすると 東都食品のイメージアップと考えていい訳ですね」
「ええ その通りです GOL限定販売になれば イメージアップは
間違いなくあがり いままで知らなかった人も 購入するようになります」
「分かりました 私からは以上です 12億出します」
「ありがとうございます あとはありませんか」
秘書の里香が
「サラダの真空パック缶詰ですが どの様に位置づけされていますか」
「はい 例えば出回っている缶詰はちょっと高級感があったり
プラスアルファーの要素が多いと思います なので普段購入する客層が
ある程度限定されてきます しかしサラダ缶詰は底辺の客層を広げる事が
出来ます レタスサラダにした場合 レタス1個丸まる使う事はないと
思いますし 日にちが経てば鮮度も落ちます それに一人暮らしの女性が
サラダを購入しようにも 販売しているところはコンビにのように
限られ 美味しさや鮮度にしても 八百屋のレタスには負けます
多少高くても 美味しくて鮮度が良ければそのような客層は
必ずリピートします なので東都食品のイメージアップと購買客層の
拡大が図れると思います GOLで試行錯誤しながら 全国販売でも
いいと思います まずはGOLで限定販売をしっかりします」
「はい 分かりました 私も神山さんの言われている通りだと思います
私もサラダを作るときに 鮮度が良い物があれば 多少高くても
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