2012年12月16日日曜日

Vol.890 紫陽花 -10-55



筒井が浜野達に
「悪いけれど 先に帰るよ ごめんね」
筒井が財布から2万円出すと由貴が
「さきほど神山さんから 頂きました なので大丈夫ですよ ふふふ」
「そうか 悪いな」
「そうそう 奥さんを大事にしてくださいね おやすみなさい」
筒井はタクシーで家にむかった
由貴たち4人は
「そうしたら 渋谷でカラオケして 帰ろうか」
「うん でも軍資金が有るんだったら ホテルでカクテルもいいでしょ」
「そうだね じゃカクテルの後にカラオケ」
「もう カラオケに拘って」
4人はきゃーきゃー言いながらタクシーに乗り込んだ

神山たちが乗ったタクシーは赤坂のアフターシックスで止まった
祥子は勿論初めてだったが モーガンは2回目で
「神山さん ここに入れるのか 凄い事だ 私だって入れないんだ」
神山は多くを語らずに 店に入るとバニーガールにカードを見せた
バニーガールが席を案内すると神山はモーガンに飲物を聞いた
「神山さんと同じでいいです」
「久保さんは何にされますか」
「私は ソコ・クランベリー・ソーダをお願いします」
「洋子はどうする?」
「私は久保さんと同じでいいわ 呑んでみたいなぁー」
「ははは では僕はドライマティニをお願いします」
バニーガールは注文を聞くと バーに戻りドリンクを伝えた
最初に運ばれてきたのが グラスビールなので不審に思うと
「あちらのお客様からです」
バニーガールが指を指すところに ジョン・ブラームスが手を振った
神山と洋子はお辞儀をして挨拶をした モーガンが
「神山さんは ここでも有名なんですね 凄い事です」
「いえいえ たまたまですよ」
みんなで乾杯すると 神山と洋子はジョンに向かってグラスを差し上げ
「洋子 良かったね 向こうも覚えてくれていて」
「ふふふ 忘れないでしょ CCAに欲しいって言われているんでしょ」
「もう 勘弁して欲しいな ははは」
モーガンはCCAも知っているのかと聞いたので
「知ってはいません 3回お世話になりました」
「はぁー 凄いなぁー 本当にデザイナーなのか 分からなくなったよ」
「ははは 僕もそう思います 本業はなんだろうって」
「でも神山さんは なんでも出来る人だ 頑張ろう」
「そうしたら GOLで紳士服を限定販売しましょう」
「おお それはいいアイデアだ」
「リピートが増え 数字が分かってきたら 全国展開 どうですか」
「うん 分かった そうすると夏物からだな」
「ええ そうしましょう」
「うん 目標が出来たから 話は早いぞ 久保さん頼んだよ」
洋子はしっかりとメモをして 契約書は後日パリに送るといい
モーガンと神山のサインを貰い祥子と洋子が立会人でサインをした
最後に神山が日時を記入してサインをした

神山は洋子にデジカメを用意してもらい
「これから 久保さんと踊るから僕を撮影をしてください お願いします」
神山は曲が終わると久保の手をとりセンターに行った
バラードが流れ 神山は4月に踊った時の事を思い出し
「さあ 今日は 格好良く決めるからね 信じてね」
「久しぶり 嬉しいわ お時間を作ってくださいね」
神山は頷くだけだった
二人は慣れたステップで軽快に踊りまわりの人を魅了した
曲の最後になると神山は約束通り祥子を少し放り投げ抱きかかえて
踊り終わった 周りからは最大級の拍手と指笛が鳴り止まなかった
洋子は神山のポーズを撮影したが 上手に撮れなかった
「ごめんなさい こんな感じになったわ」
写真は余りにも神山を意識しすぎて 祥子が半分無かった
祥子が覗くと
「わぁー 半分無いわ ふふふ でも神山さん格好いいわ」
「うん イメージ写真をストックすれば デザイナーにわかり易いでしょ」
それを聞いたモーガンが
「大したものだ そこまで考えているとは 普通は考えないよ
アレックス氏が神山さんに惚れた意味が分かるよ 私も神山さんに惚れた」
4人は大笑いしながら 神山は今度は洋子と踊った

先ほどの踊りで神山の周りには誰もいなくなり 席で見るものが増えた





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