2012年12月22日土曜日

Vol.896 紫陽花 -10-55



「それでNNメンズをGOL限定販売します プロモーションビデオや
CMなどアルタと契約しました 洋子さんお願いします」
洋子は契約書を内藤に見せた
内藤は嬉しいが声を失っていた
「如何でしょうか」
「や、山ちゃん ほ、本当の話ですよね」
「ええ それで話はもう進んでいますよ 勿論プランですが
プロモーションビデオのコンテも頭の中にありますし」
「えっ そ、そこ、そこまで詰めているの、、、へぇー」
「驚かないでくださいよ しっかりしてください 部下がお手柄立てたのに
褒めてくださいよ もう ねぇー洋子さん」
「うん ありがとう 素晴らしすぎて 頭の中がパニックって」

神山は昨日の出来事を話すると スタジオで出来ない事はないが
臨場感や雰囲気を出すんなら そこで撮影した方がいいと言った
神山は午前中なら出来るだろうと答えた
「いやー 山ちゃん 凄いないつも驚いているけど 凄い それでそれは」
神山はサラダ缶詰の経緯を話し 試作品が出来あがったので
小田原工場でみんなに食べてもらい アンケートを回収したいと伝えた
「わぁー 本当に爆弾だね 缶詰業界はびっくりするよ」
「ははは 協会理事の私は驚いていませんがね」
「ははは そうだったね うん でも業界は驚くよ」
「そこでパテントの件もあるので社名は伏せてください
それと早期試食 早期回収でお願いします 時間があればあるほど
技術を盗まれますから」
神山は自分で言ってはっと思い
「洋子さん 里香さんに大至急連絡とって」
洋子は携帯で里香に電話すると
「里香さんです
もしもし神山です 先ほどはありがとうございます」
「いえ こちらこそ それでなにか?」
「ええ サラダ缶詰ですが パテントを取得されるわけでしょ」
「ええ そのつもりです」
「なら 試食も限定した方がいいですよ 時間があればあるほど
技術が盗まれます 特に同業者には直ぐに分かるでしょ」
「あっ そうですね 分かりました 早急に手配します
本当に何から何まで ありがとうございます」
神山は電話を切ると洋子に
「よかった 早期試食 早期回収 間に合ったよ」
「よかったですね あなたのアイデアですものね 良かったわ」
「な、なに、このサラダ缶詰、山ちゃんのアイデアなの、、、」
「って言うか 洋子さんと話をしていたら出てきたんですよ」
「へぇー 爪の垢をください」
3人は大笑いした
神山と内藤は御殿場アウトレットの経過確認をして別れた

貴婦人の中で
「しかし内藤社長 驚いていたね サラダ本物以上に美味しいって」
「ええ 私もそう感じたわ 歯ごたえも充分だし」
「でもさ ドレッシングが欲しかったな えっドレッシングかぁー」
「そうね ドレッシングがあると又違うわね」
「でも 出来るんだろうか 兎に角部屋に着いたら電話するよ」
「缶詰の中には一回分だから 鉛筆の太さで充分でしょ」
「そうだね でも 油って瞬間冷凍した後 解凍って出来るのかな」
「そうか そうよね 解凍に時間が掛かったら 台無しね」
「うん 食べる気なくなるもん」
話しているとビルに着き洋子を降ろすと 駐車場に止めた
神山は駆け足でビルに入ると びっしょりと濡れてしまった
次長室に戻るとジャケットを洋子に渡し田宮に電話をした
「はい 田宮です」
「神山です 度々すみません 実はサラダ缶詰ですが ドレッシングって
付ける事が出来ますか って言うのはドレッシングがあるのと無いでは
印象が全然違ってくると思いまして」
「ええ ありがとうございます その件は現在試作をしていますが
解凍に時間が掛かったりと問題があって 今回の試作には外しました」
「はあ やはり考えるところは同じですね」
「ええ 私も考えましたが どうするか試行錯誤しています」
「はい 分かりました では」

神山は電話を切ると洋子に
「やはり解凍に問題があって 今回の試作には外したんだって」
「へぇー でもそうよね あなた流に考えれば 味があった方が美味しさが
倍増するものね ふふふ」
「洋子 そこなんだよ でも解凍が上手く行かないんだな、、、」






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