2012年12月7日金曜日

Vol.881 紫陽花 -10-55



「じゃ 明日頼みます」
「はい おやすみなさい」
神山は時田の車で大通りで降り タクシーを拾った
時計を見るとまだ21時を過ぎたばかりで 洋子に電話をした
「はい 洋子です どうされましたか」
「うん これからラーメンでも食べないか」
「わぁー ラーメンですか いいですよ 余り入らないけれど」
「うん そうだ そうしたら上原の寿司屋に行っているよ」
「はーい 直ぐに伺います」
神山は運転手に上原に行くよう行き先を変更した
駅前寿司に着くとニーナ・ニーナの由貴と桃子がいて
「わぁー どうしたんですか お帰りなさい」
「ははは ここが落ち着くからね 来ました」
女将がニコニコして ビールとおつまみを運んできてくれた
「神山さん GOLってそんなに規模が大きいんですか」
「うん そうだな 東京ドームの6倍は優にあるよ」
「そうなんだ だからチーフはリピートを増やさないと潰れるって」
「そうだよ リピートが少ないと売り上げが減る そうすると
どんどんと下降線をたどり 遂には閉店に追い込まれるよ」
「今日はパリのモーガン副社長が会議に同席され 神山さんが
予算を捻出したと チーフも喜んでいましたよ」
神山は箱で営業しても 最初は物珍しさで売り上げはあるが
そのうちにリピーターも減り存続が危ぶまれると説明したと話した
由貴と桃子も神山の話はよく分かり モーガンが来日している
タイミングで会議に出席できたことはラッキーだと言った
もともとモーガンは日本繊維開発会議に出席する為に来日し
御殿場は眼中に無かった それが昨日神山の発言で 御殿場の会議に
出席をし認識を改めたと話をした
「それでその会議っていつなの」
「ええ 本会議は明日だと聞いていますよ 筒井から聞きました」
「そうか そうそう あのスーツ 世界で3着しかないスーツ」
「ええ」
「それを見せてくれって言うので 見せたら 今度は紳士も作ろうかって
勿論冗談だろうけど 喜んでいたよ」
「やっぱり 持っている人が素敵だと 格好いいからなぁー」

「お待たせしました」
「わぁー 洋子先輩 どうしたんですか」
「ふふふ 神山さんに呼び出されたの ねぇー」
「うん ラーメンを食べたくなってさ それで呼んだんだ」
「またまた でもいいか」
「さっきまで 社長と一緒だったよ」
「まぁ お疲れ様でした ふふふ 言われたでしょ」
「うん もう少し待ってくださいって 話した」
「ふふふ 違うでしょ 仕事ではよきパートナーでも 実生活では
難しいって そう言ったんでしょ」
「えっ どうして まさか」
「そうよ まさかよ」
神山は元気をなくし 俯いてしまった
「ねえねえ あなた 副社長でしょ おめでとうございます」
「うん 洋子だって理事じゃないか」
「ふふふ 乾杯ー」
由貴と桃子はきょとんとしているので洋子が
「アルタで副社長になるのよ 7月1日に ねぇー」
神山は時田が何処まで話をしたか分からないので 鈴や食品の
副社長と洋子の理事の件は伏せておいた
「でもさ お給料だって そんなに上がるわけじゃないんだよ
まだ 聞いていないけれど ほんと有名税の方が高いよ きっと」

神山たち4人は寿司屋を出ると由貴と桃子もラーメンを食べるといい
渋谷まで歩き 有名なラーメン屋に入った
「洋子 明日朝一番で 社長に電話をして 口座番号を聞いてください」
「どうしたの?」
神山はニーナ・ニーナのブースが神山の考えている通りできると
鈴や食品ブースもそれなりに造るのに 予算が足りなく
神山自身のお金を時田に出資する事になったと 話をした
「わぁー 凄いわね そんな大金を出資するなんて 分かりました」
「そうそう ゴルフ優勝だって だからそれも褒めれば喜ぶよ」
「そうなの へぇー 神山さまさまね」
神山はこのとき 時田から電話が入っていないと感じたが
先ほどの件も含め 聞くのは止めておいた方がいいと思った
「あーあ お腹一杯です ご馳走様です」
「ほんと 私 また太るわ ふふふ」
「じゃ 洋子 悪いけれど二人をお願いします」






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