神山は洋子に1万円を渡すと タクシーを拾い見送った
次のタクシーに乗り 今回は真っ直ぐにスタジオに帰った
「お帰りなさい」
「ただいま 今日はありがとう」
神山は着替えを済ますと スタジオで寛いだ
「祐子 ビールを呑みたいな 一緒に呑もう」
祐子は頷くと ニコニコして缶ビールを持って神山の隣に座った
「お中元の話はどうなりましたか」
「ええ 明日だったら3時に伺えますって」
「うん じゃあ そうしよう 準備をして待つようにするよ」
祐子は電話のところに行くと 会社に連絡した
「祐子 こんなに遅くても大丈夫なの?」
「だって 仕入れって24時間体制ですよ だから大丈夫です」
「そうか、、、しかし凄いシステムだね」
「それでね コンテナ1台分ったら驚いていたわ ふふふ」
「まあね でも これから増えそうだ 困ったなぁー」
「また増えるんですか」
「うん 今日また仕事が増えた 決裁権のない理事だがね」
「わぁー 凄いですね おめでとうございます ふふふ」
「でもね お中元や贈り物が次長室に山となって 仕事にならないんだよ
だから 今回も配送課の倉庫を借りて保管しているんだ」
「そうですよね 仕入れの人もコンテナ1台分ですかって
驚いたまま 声が出なかったわ 普通バンで回っているんですよ
だけど明日は 大きなバンで伺いますって そう言ってました」
「ははは これからトラックが必要になるぞ もう あーあ」
「あなた 贅沢な悩みね ふふふ」
神山と祐子はシャワー室で戯れると
「ねえ ベッドに行きましょうよ」
神山は頷くと 湯船からでて シャワーで流した
祐子が出ると バスタオルで体を拭いてあげた
神山はソファーでブランデーを呑むと祐子は
「私 昨日呑みすぎたのかしら 少しにしておきます」
祐子は自分のグラスに ブランデーを少し注ぐと神山と乾杯した
主賓室のカーテンは開けられていて 庭の照明が綺麗だった
特に紫陽花のところは光線が射し込み 可愛く綺麗な花びらが
夜の芝生にぽっかりと浮んでいた
神山と祐子は庭の芸術を楽しんでいる時に神山の携帯がなった
「やあ 亜矢子 どうしたの」
「ふふふ 良かったわ 起きていて ねえ由紀枝さんが大変よ」
「えっ 大変てどうした」
「もう 若い子の話になると血相を変えるんだから ふふふ」
「おいおい 意地悪言わないでよ」
「実はね 昨日の事だけど 宿泊者の男性が呼吸停止状態になったの」
「えっ そんな、、、」
「ええ それでコールがあって 由紀枝さんが人工呼吸を施し
直ぐに救急病院に搬送されたんだけど そのときの判断がよかったの」
「うん」
「救急車にサイレンを鳴らさないで来て貰う事と 正面玄関ではなく
従業員出入り口につける事など 適切な判断をしたの」
「うん 分かるな」
「それが 御殿場市の議員さんで 女性は奥さんじゃ無い訳なのよ
だから 秘密裏に行動した事に凄く喜んで 今日ホテルに来られて
椿に是非 秘書として迎えたいって」
「へぇー 気に入られたんだ」
「ええ その場に居た女性にこう言ったそうよ
身内の方なら 病院まで一緒に行ってください でなければ 裏口から
静かに出られた方が いいと思います って」
「へぇー 凄いな 良くそこまで気がつくね」
「結局 議員さんの意見だけではなくて その女性が後押ししたのね」
「で 由紀枝は秘書か」
「ううん 私はここの職員だから出来た事で 秘書なら出来ませんって
そう電話で話をしたらしいの そうしたら椿が喜んで 由紀枝さんが
サブになったのよ もう信じられないわ」
「えっ サブになったの へぇー 凄いね」
「でしょ 多分由紀枝さんは自分から言わないから知らないと思って
電話をしてあげて 喜ぶわよ」
「うん ありがとう 凄いな」
「ふふふ 寂しいから来てね」
「うん 今はちょっと忙しい ごめんね」
「ふふふ 副社長 おめでとうございます」
「なんだ 知っていたのか もう 困ったものです」
「じゃ おやすみなさい」
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