2012年6月28日木曜日

Vol.719 ゆり -12-45



受付でカードキーを見せると優先的に窓際に案内された
席に落ち着くとウエイトレスが注文を聞きに来た
「さあ 好きなドリンクを注文して」
祐子とカトリアーナはそれぞれチャイナブルーやスプモーニといった
甘くて軽く見た目に綺麗なカクテルを注文し
神山はドライマティーニを注文すると生バンドの演奏が始まった
ジャズの名曲が演奏された
「ねえ 神山さんの家は何処ですか?」
「うん 赤坂だけど」
「へぇ~ 私も赤坂なんですよ 近いですね」
「でも 10日前に引越しをしてきたばかりだよ
傍にある赤坂 スカイ ハイ ホテルでいつも買い物さ」
「えっ 私もあのホテルの傍ですよ あそこに小学校があるでしょ」
「うん その斜め向かい側だよ」
「ほんとですか だったら私と2分位しか離れていないわ
私は小学校の並びのマンションですけど 
もしかして あの白くて大きいスタジオの近くですか」
「ははは あそこだよ」
「えっ 凄い 実は1年前にあそこでアレックスジャパンの
モデルで撮影をしたんですよ ゴルフウェアーの、、、
広いお庭があってプールもあるところですよね」
「うん そうだよ じゃあ僕より先にあそこを知っているわけだ」
「ええ でも3,4回でモデルのお仕事は無くなりましたから
もう あのスタジオには行っていないんですよ」
「もしかして ボーンっていう副社長に誘われて断ったんだろう」
「えっ何故分るんですか その通りです しつこくて嫌な奴でした」
「彼は もうアメリカナに強制送還されたよ」
「えっ 神山さんって なにをしているんですか」
「うん デザイナーとプランナーかな」
「それで なぜアレックスジャパンの事をそんなに詳しいのですか」
神山はカトリアーナや祐子に分りやすく掻い摘んで説明をすると
「へぇ~ そうなんですか 凄いですね 最高責任者って」
「ところでカトリアーナは来年卒業でどうするの
日本の学生はもう就職先が決まっているのもいるだろう」
「私も3社面接しましたがお給料が安いのと 労働条件が合わないので
パリに戻ろうかと考えているところですよ」
神山は少し考えて
「一つ聞きたいが 人と話をする事は好きかな?」
「ええ 大丈夫よ どうして」
「うん まだはっきりは言えないがカトリアーナに
とって悪い話しじゃないよ 少し待ってくれるかな」
「ええ いいわよ でもダンサーは嫌よ 辛いもん」
「うん 受付とアテンダー業務だよ どうだろうか」
「ええ 大丈夫よ 日本語もこの位でよければ」
「分りました そうしたら携帯番号を教えてくれないかな
決定をしたら面接を行うから」
カトリアーナは神山を信じて携帯電話番号を教えた
「どちらに転んでも電話をするし 僕がいい所を探すよ」
「神山さん 本当に信じていいの」
「うん 大丈夫だよ 君のように美しい人をパリには帰さないよ」
カトリアーナの目は涙で潤んだ
「あなたのように私を人間として見てくれた人ははじめてよ
今までの男はセックスシンボルとしか見ないで嫌だったわ
もう 私を見るとSEXのことばかり 嫌だったの日本人が」
「ははは それはそうだろう だってプレイボーイから
飛び出してきたような美女でセクシーだったらみなそう思うよ」
「でも もう目付きが違うのよ 私のバストからヒップまで舐めるような
あの厭らしい目付きには耐えられなかったわ」
「そうか 僕も素敵なお尻だと見とれていたけどな」
「あなたは 厭らしくないわ よかった」

祐子が
「大丈夫よ この人は凄く紳士よ Hな話題も明るいし
それで私も虜になったのよ」
「そうなの もうお付き合いして長いんでしょ」
「まだ10日もしていないわ ねえあなた」
「うん 28日に会ったから明日で10日だね」
「えっ まだ10日、、、それでこんなに雰囲気のいい仲なのね」
「そうよ」
「羨ましいわね でもアルバイトが終ったらまた会って貰えますよね」
「うんカトリアーナさえよかったら 大丈夫だよ僕は」
3人の話が盛り上がっていると場内はアメリカンポップスが流れ出して
中央で踊るカップルが出てきた






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