「桃子は大学時代にちゃんと貯金をしているだろうけど
自由に使えないからね だから少しでも役に立てたらいいなと思ったんだ」
「ふふふ あなたって 本当に優しいのね 嬉しいわ」
「さあ 一回スタジオに戻ってそれから考えよう」
二人は赤坂のスタジオに戻ると神山は事務所に入り
FAXや留守電を確認し終わると 久しぶりにPCで
車を探してみるとBMWが目に付いた
仕様をみると排気量5.7Lと大きくエンジンもV12気筒とポルシェの
6気筒と大きく違った
ポルシェ911ターボの馬力が408psに対しBMWアルピナB12は
416psと少し上回る
出力についても911が54.0kg・mに対しB12は
58.1kg・mと少し上回っていた
神山は金額がポルシェの2倍近い金額だったが大人しい感じのB12に
ほれ込み実際に見てみたかった
神山は2階の主賓室にいきバッグに現金を入れるとスタジオに戻り
「祐子 お~い」
祐子を呼ぶと2階のゲストルームから出てきて下に来た
「はい なにか?」
祐子はスパッツにTシャツで掃除をしていた
「掃除は終った?」
「ええ 今 洗濯物を纏めていたんです でも今日は曇っているので
考えていたんですよ」
「うん 出かけるから一緒に来なさい」
「は~い 分りました そうしたらブラウスに着替えますね」
神山は頷くとソファーに座ってタバコを吹かした
「お待たせしました」
「うん まあ祐子は楽しくないかも知れないけど 付き合ってくれ」
「ふふふ 一緒にいられるだけで嬉しいわ」
神山はガレージから赤いポルシェをだすと祐子を乗せて10分位の
場所にあるBMWのお店に行った
ショールームにはピカピカの新車が展示され神山はその中に
アルピナB12が展示されているのを発見した
車内を覗いてみるとポルシェに比べ大人しいコックピットだが
住居性がこちらの方が上回っているように感じた
神山が真剣に見ていると祐子が
「ねえ 神山さん この車を買うの?」
「うん そう思っている」
「わぁ~ 凄いわ だって3130万円よ 税抜きで、、、」
そこに女性の販売員が神山に近寄って来て
「いらっしゃいませ いい車をお選びですね」
「ええ」
「このアルピナは東京ではこの1台しか置いてないんですよ
これから徐々に輸入されますが」
神山はドアを開けてコックピットに座ると人間工学を考え配置された
ハンドルやレバーに感心した
後部座席も911に比べると多少天井が高く窮屈感がなく気に入った
車体色も綺麗なブルーでこれで希望の3色が揃う事になると思った
神山は女性の販売員に購入を伝えると早速カウンターで
書類の制作をして印鑑を押した
神山は税金など含めて3300万円を現金で支払うと男性社員も手伝い
現金を確認すると店長が出てきて
「ありがとうございます 早速ですが納車は9日の午前中で宜しいですか」
「ええ お願いしますね」
神山と祐子はお店を出ると神山は
「ねえ 祐子 お昼は中華にしようか」
「ええ 好きですよ うれしいわ」
神山はそのまま渋谷のシブヤ ハイアット ホテル 地下食堂街に行った
中華料理店に入ると店内は土曜日とあって若いカップルや家族連れが
多く見られた
神山は生ビールと単品の料理を数種類注文すると祐子が
「ふふふ 神山さんと最初に来たお店がここよ 覚えている?」
「うん 勿論さ それでその夜に儀式をしたんだよ」
祐子は顔を赤くして
「もう いいのその話は これもその時に買ってもらったの」
祐子は左手のロレックスを神山に見せていった
「そうか もう1週間も経つんだね 早いね」
「ねえ 私って変った?」
「うん なんて言うか大人になったって そんな感じだね」
「わぁ~嬉しいわ ありがとうございます」
「でも背伸びをしなくていいよ 今のままで充分だからね」
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