リーフを木に巻いて ポスターをそこに飾るってどうですか」
杉田は屋敷と神山が見ている所でスケッチブックにイメージを描いた
「うん これでいこう あとは簡単なPOPで済むしね」
「じゃ ブランドを選考するのが最初ですね」
「課長 って事でこのように杉田の提案したデザインでいきます
それで大至急ブランドを選んでください 急なので今夜は1ブランドで
展開しましょう 出来ますよね」
紳士服一課長はしぶしぶ頷いた
「良いですか課長 今12時です 13時までに杉田まで連絡ですよ」
「はい 分かりました」
店を出ると杉田が
「しかし 紳士服って全然危機感が無いですね」
「そうか翔もそう感じるか」
「ええだってプライベートブランドでしょ それが潰れるって
普通だったらなぜって思うでしょ それが噂で済んでしまう所です」
「だよな 怖いな ライセンス契約をしていなければいいが
でもな 酷いものだ山田は」
「そうですね 随分ですね」
「課長が話していたが 三山でも面積を減らされたらしいんだ
それも多少絡んでいるんじゃないか」
「あーあ なるほど 大きく言えば銀座撤退って事ですね」
「うん 本人の妄想もそこまで来ると お付き合いできないね
したがって 撤退です」
「そうそう その跡地にNNのメンズでしょ」
「うん 部長とはその話になっているよ 大丈夫だよ
鈴やで展開してくれなかったら 他を考えるしね」
「えっ でも それってありなんですか」
神山は自分の権限を分かり易く二人に説明した
「じゃ 鈴やで売れない場合は 撤退もありなんですね」
「うん 日本の企業と考え方が違うからね 僕も分かってきたよ」
「へぇー 少し勉強になりました テツ良かったな」
「はい 勉強になりました」
「もう 鸚鵡返しでどうするの ははは 先輩済みません」
「よし これからお昼に行こうか 何処にする」
「先輩 ゴチでーす なあテツ」
「はい ゴチです 中華がいいです ねえ先輩」
3人は中華料理店に入ると杉田が奈々子を呼び 洋子も連れてくるように
指示をしていた 神山はこの頃よく気が付くと感心した
杉田は おばさんに生ビールとおつまみの餃子8人前 野菜炒め5人前
シュウマイ5人前を注文した
平日の午後でサラリーマンで賑わっていた
殆どのサラリーマンがワイシャツの袖をめくったり 半袖姿も多い中
神山はジャケットを漸く脱ぎ裏返しにして椅子の背宛にかけた
丁度ブランドのタグが見え杉田が
「へぇー NN K-Model ですか 格好いいですね なぁテツ」
「でも先輩が着るとジャケットが歩いているみたいで お勧めはしません」
「おい どういう事だよ それは」
「だって ジーンズだっていまいちだし 今のファッションを言わせて
頂きますと 要はファッショナブルじゃないです」
杉田は俯き元気をなくした
「ねえ翔ちゃん どうしたの 元気が無いわよ」
「そうよ 杉田君 さっきから箸が動かないし ねえあなた」
神山は洋子と奈々子が来る前のやり取りを話した
「こらっ てっちゃん そんな翔ちゃんを苛めたらだめでしょ もう
いくら本当のことでも そこは弁えて話す事よ」
「はい 分かりました」
「ねえ あなた 予備のメンズがあるでしょ それを杉田君に着てもらう
ってどうかしら?」
「うん 先ほどから考えていたよ でもね このもやし体形ではね」
「まぁー 可哀相 もやしですって 奈々子ちゃん」
「専務 いくら思っていても言っていい事と駄目な事ってあるでしょ」
奈々子は神山に反論していたが 最後は笑ってしまった 杉田が
「ほら 奈々子だって笑って もう あーあ いいですよ どうせ僕は
板橋の田舎もんです いいですよ もう」
5人は楽しく食事を終えると各自部屋に戻ったが洋子は本社秘書室へ
書留を受け取りに行った
「わぁー 重いわ もう いつまで続くのこれ 今朝頂いたばかりなのに」
「やあ ありがとう」
「ねえ 先日の分 出してくださいね お礼状を出すんだから わかった」
神山は今朝の分と10日の分を机にだし お届け伝票を洋子に渡した