2013年11月5日火曜日

Vol.1214 百日紅 -8-69



「へぇー そうすると元祖カーキチってことか へぇー」
「もう 今日はウキウキしていたのに凹んだわ もう 嫌ねぇー」
「ははは 親孝行だと割り切っているんだろ」
「それはお話を聞くときのことよ このように行動されると 大変よ
あなたの事も心配だし 母親も心配だし あーあ 大変だわ」
「洋子 それでね 銀座物語 凄い売り上げで驚いているよ」
神山は開店時のことから11時までの話を伝えると
「ふふふ うちは嬉しいけれど 山脇さんの所はがっかりね」
「うん その事を婦人部長に話したんだよ まあ仕方がないね だって」
「そうよ 弱肉強食よ 仕方がないわ これから伸ばしてほしいわね」
「それでね奈々子ちゃんにGC50万渡して 今夜のご褒美を頼んだよ」
「あっ そうか ごめんなさい」
「うん いいよ 奈々子ちゃんもしっかりメモしていたよ
そうそう 紳士で少し動きが出るよ」
ライセンスPB撤退の事も掻い摘んで話をすると
「そうね いつまでも安売りばかりに目が行っているから伸びないのよね
ここであなたが言うように 高額商品を展開すれば 客層が変わるわよ」
「そう願っているよ 第2のNNをね」
「そうね でも待ちどおしいわね 早くメンズを展開したいわ ふふふ」
「うん でもこのモデルはこれでOKなんだから GOLより早く
展開しても怒られないと思うけれどね」
「そうしたらモーガン氏に聞いてみれば FAXしますよ」
「そうだね 少し保留 覚えておいてね」
「はーい」

暫くして奈々子が次長室にきた
「わぁー先輩 こんにちわ」
「ご苦労様 ありがとう ふふふ」
「いえいえ 専務のお使いでしたら 喜んで伺いますよ」
「おぉー 奈々子ちゃん ありがとう」
「それで専務 缶ビールを人数掛ける4で7ケース オードブルは
和洋中で各50人前ずつで少し足りなかったので出しておきました」
「えっ 50人もいたっけ」
「もう 手伝い店員さんを入れないと可哀相ですよ」
「あっ そうか そうすると40名になるんだ ゴメンゴメン
でどの位不足したの」
「ええ 50万円ほどです」
「えっ 50万円も不足 わかった しかし凄いものを頼んだね」
神山は独り言をいいながら100万円分のGCを奈々子に渡した
「ありがとうございます だって専務 専務のご馳走でしょ」
「うん そうだよ」
「だったらその名に恥じないお料理をお届けしないといけないでしょ」
「そうか うん ありがとう うん そうだね」
「ふふふ なので和食でも 最高級のお料理でしょ 生湯葉や生カキ
色々と美味しいものを注文しましたよ そうそう 聞いたらふぐが
入っていたので ふぐ刺しも注文したんです 驚いていましたけどね」
「はぁー 生カキにふぐ はぁー 凄いね」
「ええ 鮮魚ではあと最高級のマグロの大トロとか ふふふ」
「大トロですか はぁー 洋子 世界が違うよ あーあ」
「奈々子ちゃん ありがとう ふふふ 神山は初めての事だから
パニ食っているのよ 我慢してね」
「大丈夫ですよ 翔ちゃんと一緒だもん へへへ」
「じゃ この100万お渡しするわ ありがとう またお願いね」
「はーい では失礼します」
奈々子はニコニコして次長室を後にした

「しかし 生カキや大トロ ふぐ刺しだって 大丈夫かな売場は」
「ふふふ 私から電話をしておきますね」
「うん 驚くよきっと 幾らなんでも 専務と言ってもね」
「でもいいじゃない それで売場の女の子が張り切るんでしょ」
「うん そうだね 参ったなー しかし また言われるよ とほほ」
「こらっ 奈々子ちゃんが可哀相でしょ そんな事いって もう
私でも同じ事していると思うわ 憧れの人からお使いを頼まれ
それも普通じゃない金額を渡されれば 考えるでしょ
そこまで計算するわよ 彼女だってそうして選んだのよ もう」
「ごめんごめん そうだね ありがたい事です」
神山は意気消沈し頭を抱えてしまった
「今後 専務賞は無しにしようかなぁー」
「まぁー それが励みになれば 安い事じゃない もう ケチねぇー」
「おいおい 分かりました あーあ 大変だ」
神山はロレックスを覗くと12時を過ぎていたので洋子をお昼に誘った

レストランの鰻屋に行くと仲居が
「専務 凄いですね 今度私たちも売り上げが良かったらお願いします」