ソファーで寛ぎながら缶ビールを呑んでいると洋子に電話が入った
「やあ 洋子理事殿 誠にありがとう 助かりました」
「あっ 部長 どういたしまして どうされましたか?」
「いやいや お礼の電話ですよ 奈々子ちゃんにも伝えてください」
「はーい 分かりました」
電話を切ると奈々子に
「婦人服飾部長さんがね 応援ありがとうございましたって
お礼のお電話を頂いたわ 良かったわね」
「ふふふ やっぱね ありがとうございます 翔ちゃんも喜ぶわ」
「そうね 杉田君も大手柄ね ふふふ」
「先輩 専務 ごちでした あーあ美味しい ふふふ 失礼します」
「はーい 頑張ってね」
奈々子は缶ビールを3本も呑み嬉しそうだった
「よほど嬉しかったのかな 3本も呑んだよ 大したものだ」
「ふふふ 就業時間中にビールを認めているからのびのびしているわ
犯人はあなたと倉元部長でしょ ふふふ」
「まあね でもほんとお疲れ様でした 僕もいい汗をかいたよ ははは」
15時過ぎにニーナ・ニーナの祥子から電話があった
「やぁー こんにちわ」
「神山さん メンズのシューズやシャツ バッグが届きました
これから伺っても宜しいですか」
「うん ありがとう 大丈夫ですよ」
電話を切ると洋子に伝えた
「へぇー どんなシャツなんでしょうかね 楽しみね」
「ははは だって基本はこのスタイルだから そんなに変わらないよ
かえって期待しているとがっかりするよ」
神山はそう言うと次長席で仕事をまとめていると祥子が訪ねてきた
「やぁー ありがとうございます」
「成田から届いたばかりです」
祥子と二人のデザイナーもニコニコして神山に挨拶をした
今回は大きなダンボール箱を持って来て 開けるとジャケットや
ジーンズも入っていた
「ええ 着替えをして頂きたいので 先に頼んでいたんですが 今回は
ちゃんと送っていただきました」
「へぇー ジャケットも少し色合いが違うだけで まるっきり同じだね」
「ええ 勿論ですよ」
神山はシューズを取り出して凄く軽いので驚いた
「ええ シープなんです 欠点は雨に弱いですね なので梅雨時なんかは
避けて頂きたいです」
「そうなんだよ 今 履いているのもシープなんだけど 雨は禁物だね」
「それでデザインが多少違うのでカーフも作りました 如何ですか」
神山は少しだけデザインが違う カーフのシューズを手にすると
「うーん これは日本にはないデザインですね シンプルでいいです」
祥子はダンボールの一番下にある箱を開けるとアンクルブーツが表れた
「わぉー これは素敵だ ほんとこのデザインは最高だ ありがとう」
フランス人デザイナーは顔を見合わせ頷いた
神山は早速 そのブーツを履き次長室を歩いた
「うん 歩きやすいし 結構軽く出来ているよ ありがとう」
祥子はもう一つのダンボールを神山に渡した
「この中は シューズの色違いが入っています 見てください」
神山は全ての箱を開けると納得してOKサインをだした
今回はジャケット色違いが2着 ジーンズ色違い2本 シャツは5種類
5枚 シューズはデザイン違い各1足で3足
アンクルブーツ1デザイン2足 カジュアルバッグ2種類
ビジネスバッグ2種類
合計18点の試作品が神山の手元に来た
神山は早速 シャツやジーンズを着替え ジャケットも色違いを選び
シューズも履き替えると 今までと同じイメージだが 上品さが加わり
メンズファッション誌から飛び出てきたモデルのようだった
神山のファッションをみたデザイナー二人は神山の頬にキスをし
「凄く素敵なイメージに仕上がりました 良かったわ」
「やあ ありがとう バッグ類ですが あと大きさが多少違うものを
例えばこの大きさにワンサイズ大きいのと小さいのを揃えると 選択肢が
増えて 使うほうでも選びやすくなると思いますがどうですか」
「ええ それも考えました しかし現在よく使われている用紙サイズで
創ってみたんです B5サイズも検討しました しかし世界で最もよく
使われているサイズはA4サイズなんですよ」
「そうか なるほど そう言われればそうですね 分かりました」
神山はバッグの中を開けてみると シンプルでチャックがなく 小物を
収納する所はすべてポケット仕様になっていた
更に 中にも表皮が施されていて 見た目も綺麗だった
「凄く素敵な仕上がりですね 高いでしょ」