「ええ 両方とも38万円を考えています」
「えっ ビジネスバッグで38万円ですか はぁー」
「ええ この肌触りは シープと間違えやすいんですが 生まれたばかりの
カーフなんですよ なので高くなります」
「はぁー それで軽くて柔らかいんですね」
「ええ パリの婦人物では当たり前になっていますが メンズでは
世界で初めてだと自負しています それに特殊なオイルを
染込ませてありますから 耐久性も充分ですよ」
「そうするとカジュアルバッグも同じ価格ですか」
「ええ こちらはビジネスより多少安くて32万円です」
「両方ともですか」
「ええ そうです」
「神山さん シャツを3種類くらいに絞りたいんです 如何でしょうか」
「うーん そうだね 種類があっても売れないとね 分かります」
「それでこのシャツは 基本で 四季を通じて形を変えません
生地の成分が多少変わってくるかもしれませんが 着心地は
全然変わらない様にしますので ご安心ください」
「なるほど わかりました」
「それで このイメージでどのシャツを製品化させていくか
決めて行きたいと思うんですよ そこで着替えて頂きたいんです」
神山は5種類のシャツを順番に着て みんなに見せた
二人のフランス人デザイナーも頷いていて 神山がどうかなという
デザインのシャツは没になった
最終的に3種類のデザインシャツが残り製品化されることに決まった
「神山さん 誠に申し訳ないのですが 没の試作品は返していただきます」
「うん いいよ でもどうするの」
「ええ はさみを入れます」
「えっ 勿体無い」
「でも デザインが盗まれるとか 色々とあるんですよ パリは日本と
違いデザインの管理には非常にシビアです」
「はい わかりました」
神山は没になった2着を祥子に返した
「それで ビジネスバッグやカジュアルバッグはこのまま進めます
補充は如何しましょうか」
「ははは バッグばかり幾つあってもねぇー」
「分かりました それで年内には全ての商品がスタンバイできます」
「ありがとう そうするとジャケットの内ポケットにロゴは?」
「ふふふ 大丈夫ですよ 今回のには付いていますよ」
神山は新しいジャケットの内ポケットを見ると 確かにNNとK-Modelと
派手ではないが 格好がいいロゴが付いていた
「いいね このロゴマーク 格好いいし でも派手じゃなくて」
「ふふふ ありがとう 私が考えたの」
「へぇー うん いいよ」
「それで神山さん 誠に申し訳ないのですが このチェックリストに
記入をお願いしたいんです」
神山は祥子から受け取りみると
ジャケットについては 何月何日に何時間着たか 運動量は 天候など
日記をつけるようになっていた
「なるほど これを次年度の参考にするんですね」
「ええ そうです 申し訳ございません 夏物はもう直ぐ終わりですが
そのデーターを基にしていいものを開発させて頂きます そうそう
それで9月に秋物が着ます でも暑いから夏物でも構いませんが
秋物が届きましたら 今着ているものは全て返却をお願いしますね」
「そうだね 了解です ジーンズもかな」
「ええ 出来ればジーンズもお願いします」
「そうだね その方がデーター取れるしね 分かりました」
「バッグやシューズ ブーツについては通年ですので 半年を目安に
取替えをさせて頂きます」
「えっ ほんと 嬉しいね」
「ええ ですから雨でも履いていただきたいんです 色々なデーターが
欲しいですし それで型が崩れたりした場合は 取り替えます」
「そうだね 分かりました 大丈夫ですよ しかし最初から雨の場合は
シープは履きませんからね」
「そうですね あくまでも普段どおりでお願いします ふふふ」
神山は洋子を呼んで耳打ちをすると洋子は頷き 神山のジーンズを持ち
着替え室で神山のジーンズを履いた
「ふふふ 少しだぶだぶよ」
神山は自分のジャケットを羽織らせ バッグも持たせると洋子の横に
並んで腕を組んだ
「どうですか 僕は K-Model の婦人バージョンもありと思います」
「わぁー 素敵 分かりました 早速検討させていただきます」