2013年11月4日月曜日

Vol.1213 百日紅 -8-69




「でもあそこはうちのプライベートブランドじゃないですか」
「うん あれはライセンスでそろそろ打ち切ろうと思っているんだ」
「うーん NY直輸入だけで展開ですか」
「うん その方がブランドが生きるしね 直輸入を見ているお客が
日本製を見てそちらに変えたりして 向こうの数字が悪いんだ」
「はぁー そうすると日本製が無くなると顧客が減りませんか」
「うん そこは大丈夫だよ 売場の販売員に聞いても 結局 日本製が
安いのでそちらを購入していると言っていた」
「ファンは定着しているわけですね」
「うん そう見て良いだろう ケアも充分に行っているしね」
「では 無くすのはいつからですか」
「うん まずは半分を今夜撤退で 段階を経て来年は全面撤退と考えているよ」
「そうしたら 秋物展開の時に益率がよく回転するブランドに切り替えたら
如何ですか 取り扱いは何処ですか」
「うん 山田紳士服なんだ ほら7階の紳士服バーゲンがあるでしょ
その時に強力な商品を持って来てくれるんだよ」
「はぁー でもライセンスは山田紳士服が縫製してないでしょ」
「うん 工場は別会社だよ そうだね 課長に話しておくよ」
「ええ 9月の初めから美味しいブランドで展開した方が正解ですよ」
「うん そうしよう それで来春にNNメンズを発表だね」
「ええ お願いします 僕もブランドを探しますよ」
「ははは 山ちゃん 乗り気ですね」
神山はNN東京支店のアドバイザーになった経緯を簡単に説明すると
「えっ 凄いですね へぇー もう山ちゃんって呼べないです」
「なので 三山さんも検討していますよ」
「だってニーナ・ニーナって鈴やだろ 大丈夫なの?」
「NNの販売ライセンスは婦人服なんですよ メンズに関しては
僕に一任されています なので全然平気ですよ」
「へぇー そうすると力を入れて販売しないと 無くなる可能性もありか」
「ええ 大げさに言うとそうですね 回転しないところには 置くつもりは
全然無し 例えば地方でメインで展開という事なら 置くつもりです」
「はぁー 凄い地位だね もう神山様って呼ばないと駄目だね
ここでもトップ3でしょ どんどんと雲の上の人だもの」
「ははは では大至急お願いしますね」

神山と杉田は紳士服売場を離れると奈々子が
「ねえ もう一度銀座物語に行ってみませんか」
三人は3Fの婦人肌着売場に行くと カウンターに行列が出来ているので
驚いて見ていた
「しかし凄いね どうなっているの」
「ほんと お店の女の子が2人増えていますね」
行列といっても10人とか20人といった派手な行列ではないが
常に3にんから5人が並び 試着室は10ある部屋が満室状態だった
婦人服部長が神山に近寄り
「山ちゃん 11時現在で1千万円突破だよ どうなっているの」
「えっ 1時間で1千万円ですか はぁー」
「凄いわね きっと相乗効果で今日は記録的な売り上げになるわね」
「奈々子ちゃん 缶ビールをお届けしよう 大変だ」
「うん 山ちゃんお待ちしています」
「はーい では失礼します」

次長室に戻ると引き出しからGC50万円分だし奈々子に
「ねえ これでさ 缶ビールとオードブルをお願いします 本当は
洋子に頼まなければいけないんだが お願いします」
「はーい 大丈夫 対象人数は婦人肌着売場だけでいいですか」
「うん そうしようよ それ以上は店長の仕事だよ ははは」
「りょうかーい わかりましたぁー 行ってきますね」
神山はひも付きの顧客であっても 割り切って考えれば 鈴やの
売り上げになるし良しと考えていた
(山脇さん ごめんね しかし凄い人気だな 女ってそんなに
 体型を気にするものなのかな 不思議なものだ)
神山は付き合っている女性のプロポーションが抜群に良いので
体形を綺麗に見せる肌着にお金を掛ける女性の心理が分からなかった
(しかし祐子が言っていた様に プールに通い体形維持って言っていたな)
暫くすると洋子が出勤をしてきた
「あれっ 早いね」
「おはようございます もう 大変よ 聞いて」
洋子の話は 納車が済むと洋子が確認のため 町内を母親を同乗させ
1週すると 凄く気に入った様子で 自分で運転し始め なかなか
帰宅しないので家で待っていると携帯電話で横浜に来ていると連絡があり
あなたは早く出勤しなさいと言われたと神山に伝えた
「おいおい 大丈夫かよ」
「だってさぁ 家にいてもしょうがないでしょ 何かあったら携帯だし」