2013年11月13日水曜日

Vol.1222 百日紅 -8-69



洋子が本社秘書室に書留受領の事で部屋を出たがなかなか戻らないので
心配していると 洋子が慌てた様子で帰ってきた
「ねえ うちのプライベートブランドが潰れるって知っている?」
「えっ なに それ」
洋子は書留を神山に渡すと本社で噂になっていることを説明した
「いやぁー 全然知らないよ そんな事はないだろ ねえ もう一度
秘書課に聞いて 紳士服に確かめた方が良いよ 可笑しいよ」
神山は過日紳士服部長とライセンスの部分で撤退と聞いたが 潰れると
いった情報は聞いていなかった
情報源の確定までにそんなに時間は掛からなかった
不当な情報を流したのは 紳士服売場に取引のある山田紳士服の社長で
鈴やでも先日の火曜日に売り場面積を半分に減らされ たまたま
三山百貨店でも面積が減らされた事に対する 妄想からこのような
噂が流されたと判明した
「しかし なんで 酷すぎるな なあ洋子」
「ええ 考えられないわね」
「洋子 紳士服に行く ついて来て」
洋子は神山が今までに無い真剣な顔つきだったので少し怖かった

まず紳士服部長席にいくと神山は
「いったい何事ですか 酷い話ですね」
「ごめんごめん 山ちゃん」
「山田がなぜこんな噂を流すんですか 酷いですよ これがNY本社に
情報がはいったら契約打ち切りですよ ほんと」
「うん まだ本人に会っていないから分からないんだ」
「専務として命令します 1時間以内にここに来るよう手配しなさい
でないと部長 考えさせていただきます いいですね」
紳士服部長も普段の神山でない事を気づき 課長に連絡した
「専務 必ず1時間以内に来るよう約束します」
神山は頷き紳士服一課長席に向った
「もう 甘いな あの感じでは」
「ええ そうね 危機感が全然感じられないわね」
一課長席に入ると 山田紳士服の社長もいて神山は驚いた
「課長 どういう事ですか 今 部長席から電話をしたら 1時間以内に
山田さんを呼ぶと言われていましたが」
「ええ 申し訳ございません あのぉー まだきちんと話が伝わって
いないんですよ そこで説明をしていたんです」
「甘いです その話は先週火曜日に決着していますよ」
神山は11日火曜日に部長と決定した事や 今後の計画の確認をした
「ええ でも 数字を考えると はい」
「うん 数字は分かりました でもPBの噂はなんですか 一課長も
ご存知ですよね 本社秘書室では対応に追われていますよ」
「はい 申し訳ございません ここに居る山田の社長がつい口を
滑らせ それで広まりました」
「口を滑らしたといわれたが うちの損害がどれだけか分かりますか」
「えっ だって社内だけでしょ まだ」
神山はカチンときた
「ばかもの この事で通常業務に支障をきたしていると思わないのか
山田さん 貴方の所は今夜撤退です いいですか 撤退です
課長 係長を大至急呼びなさい 専務命令です」
一課長は売場係長を呼び出した

「こんにちは 課長 なにか御用ですか」
神山を見て
「専務 こんにちわ 今日はどんな御用ですか」
神山は係長も全然空気が読めていないと判断して
「君はPB撤退の話を知っているか」
「えっ 全然 そんな 嘘でしょ」
神山は事の経緯を話すと 係長は額に汗を浮かべていった
「そこで 係長 今夜山田紳士服は撤退です いいですね
空き地については大至急候補を選び商品手配や準備をする事
これは専務命令です」
「あっ はっ はい 分かりました 早速準備します」
係長は慌てた様子で一課長席を出て行った
「って事で 山田さん 今夜で撤退です 準備をしてください」
「あのぉー どうしても駄目なんでしょうか」
「ははは 駄目です 撤退です 課長良いですか 撤退です」
一課長は俯き頷くだけだった
神山は直ぐに杉田に連絡して紳士服一課長席に来るよう伝えた
暫くするとスケッチブックを持ち屋敷と表れた
神山は課長と跡地のことで売場に戻り 杉田に指示を出した
「これだけあれば 2つくらいブランド展開できますよ」
「だろ 勿体無かったな いままでさ」
「先輩 白樺の木があるでしょ それをケースメントで使い 中元の