2013年11月6日水曜日

Vol.1215 百日紅 -8-69



「えっ なんで知っているの」
「ええ 奈々子ちゃん じゃない奈々子部長が来られましてね
最高級の鰻の蒲焼をおつまみにって 注文されて行ったんですよ
それから生湯葉も頼まれていきました」
「はぁー 鰻の蒲焼を注文、、、お願いしますね」
「ふふふ 専務 いい秘書さんですね ほんと羨ましいわ ねぇー洋子さん」
「ねっ そういう事でしょ」
「神山さん いつものコースで宜しいですか お元気が無いみたいですが」
「あっ はい お願いしますね」
仲居が襖を閉めると洋子が
「専務 元気を出して ふふふ 結果OKじゃない」
「そうだね うん 少し判り掛けてきたよ」
神山は「形」だけで考えていたが 奈々子は「心」と「功名心」で考えてくれた
そこのギャップが少し見えてきたと感じた
銀座物語のあの売り上げも 女性特有の「見栄」だけではなく 自分を
愛してくれる男性に対し「心」を込めて見てもらいたい気持ちなのかと考えた
しかし女性の考えている事は非常に分かりづらいとも思った
生ビールとおつまみが運ばれてきても神山は元気がなかった
「ねえ あなた乾杯は」
「おぉー 乾杯」
「ふふふ ショックからまだ立ち直れないのね」
「しかし 昨日も奈々子ちゃん 今日も奈々子ちゃんだ 参ったぁー
奈々子ちゃんが秘書でなくて良かった ははは あーあ」
「こらっ 奈々子ちゃんに悪いわよ あなたの為に考えて行動してくれて
それを何をいうの もう 謝りなさい もう 彼女に失礼よ」
「はーい 分かりました ごめんなさい」

店長の池上から洋子の携帯に電話が入った
「はい こんにちわ 田所ですが」
「いやぁー お食事中に申し訳ないが 山ちゃんは一緒かな」
「はい 替わりましょうか」
「いやいや 奈々子ちゃんが婦人肌着の売り上げで色々と動いてくれて
ほんとありがたいよ これも洋子さんの教育がしっかりしているからだね」
「えっ あのぉー、、、」
「おぉ 知らないのか 今夜は売場の売り上げが記録的な数字で出来ると
予想して お祝い会を開くだろ」
「はい それは神山が指示をしましたが、、、」
「それで場所はレストランで行うんだよ この手配も素晴らしいね
それと 当然わしも軍資金を使って差し入れを考えるが 奈々子ちゃんは
先にわしの所に来て 飲物をお願いしますって こう来た訳さ
ははは ほんと驚いたが 考えてみればその方が合理的だしな
ワシは飲物を差し入れる事にした いやぁー大したものだ」
「はぁー 閉店後のレストランを使うんですか」
「うん 大したものだ 山ちゃんが100万円分のお料理を差し入れると
売場では食べられないだろ なのでゆっくり座って食べられるとしたら
まさか従業員食堂では折角のお料理も色を無くすと そう考え
食品施設部長と話をして 貸してもらう事にしたそうだ」
「はぁー はい、、、」
「ワシに飲物提供も大したものだよ ははは 洋子さん頼もしい秘書が
すくすくと成長しているな ほんとありがたい事だ そうそう
山ちゃんの考えも気に入った ありがとうって伝えてください」
「はい 失礼します」
「だれ 今の?」
「池上店長よ」
「どうしたの?」
「うん 奈々子ちゃんをべた褒めしていたわ ねえ今夜の件だけれど
レストランで行うって指示をしたの?」
「いいや そんな支持はしていないよ なんで」
「いえね 奈々子ちゃんが食品施設部長に相談をしてレストランを貸切で
貸してもらうんだって 100万円のお料理を売場では食べられないし
従業員食堂では如何なものかって」
「えっ レストランでお祝い会、、、」
「まだあるの 店長の所に話しに言って 飲物の差し入れを話したそうよ
ほらあなたが食べ物でしょ だからでしょ 大喜びで褒めていたわ
私の教育がいいのとあなたの考えが嬉しいって」
「はぁー 洋子の教育 僕の考え、、、」
「ふふふ よかったじゃない ねっ」

「奈々子ちゃんも 私やあなたがいるから思い切って動けるのよ
基をただしていけば あなたがしっかりしたお仕事をしているからでしょ」
「はぁー そうなんだぁー」
「そうよ 私だってあなたがいるからのびのびとお仕事できるし
もう 池上さん大変な喜びようだったわ ふふふ」
「わかった でも良かった うん いやぁー場所を心配していたんだ