神山は次長室に戻ると洋子に
「お昼にしようよ どこに行こうか」
「そうしたら 鰻が食べたいわ」
「洋子 先日オープンした隣りの三山デパートの鰻にいこうか」
「ええ 週刊誌にも取上げられていたわね」
「ギフトカードが使えるのかな」
「まあ でも聞いてみるわね」
洋子は三山百貨店に電話をして聞いてみるとOKとの返事を貰った
二人は歩いてすぐの三山百貨店に向かい7階のレストラン街にいった
平日なのに少し並んでいると神山の知らない女性から声を掛けられた
「神山次長様 いらっしゃいませ」
神山は一応お辞儀をしたが首を傾けていると
「申し訳ございません 私 三山百貨店秘書課の山脇絵美と申します
実は先月号の百貨店ニュースに載っていましたものですから」
「そうですか ありがとうございます 光栄ですね 美女に覚えて頂いて」
「まあ お上手なこと それで本日は手前どもの味調べですか」
「ええ 週刊誌にも取り上げられているものですから はい」
「それは ありがとうございます 私も鈴やさんの
鰻は良く行くんですよ 美味しいのが一番でゆっくり食べられます」
「それは ありがとうございます 後ほど話しますよ 歓びますよ」
「あの お連れの方は田所さんでしょ」
「ええ そうですが、、、」
「まあ 神山様 鈴や様の田所さんと言えば私たちの憧れでしたよ
入社が一緒でなぜか鈴や様の田所さんが有名になりましたよ」
それを聞いていた洋子が
「そうすると貴方が三山の才女と言われた山脇さんですか 始めまして」
「ええ あの頃は各百貨店に有名な女性がいましたけれども 今は、、、」
「山脇さんがうちの洋子をご存知なら一緒にどうですか 楽しそうですね
僕は聞き役に廻りますから 現役時代を楽しんで下さいよ ねえ洋子」
「ええ 私は構わないけれど どうですか山脇さん」
「宜しいのですか お邪魔をして」
「まあ これも何かのご縁でしょ 20年前を、、、違った 18年前を
語り合ってくださいよ」
「もう いつもこれですよ どうぞ」
3人は店員に案内されると神山は普段どおりにビールとおつまみを注文し
「まあ 神山様はお昼からビールを呑まれるのですか」
「ええ ガソリンですよ でも程ほどですよ」
話しているとビールをおつまみが来て神山は山脇に勧めると躊躇したが
「絵美さん 鈴やの神山に強引に呑まされたと いいなさいよ ねっ」
神山は山脇絵美にウインクをしてグラスに注ぐと3人で乾杯をした
二人は懐かしそうに昔の話をしていた
田所洋子と同期入社で催事課の斉藤由香里の話も出た
神山は昔の銀座はそれなりに女性が頑張って暖簾を
守っていた事を痛感し感謝した
神山は山脇絵美を観察するとまだ独身だろうという事がなんとなく
感じられた事と もしかして処女ではないかと思った
端正な顔つくりは洋子と似ていて美人で美しく綺麗だった
サイズは制服を着ているからはっきりと分らないが
ブラウスのボタンが弾けそうで乳房が可哀相だった
そんな事を考えていると絵美から
「そうなの 私もまだ独身なのよ いやね
若い子にはおばさん扱いされるし店長からは口煩いと言われるし」
「そうよね 今まで一生懸命働いた証なのに誰も評価をしてくれないわ」
「そうそう そうなのよ もうお前は要らないって でもね 悔しいわよ
はっきり言って 私たちのお陰で今が有ると思うわ」
「ええ 私もそう思っているわ でも若い子には分らないわね」
「寂しいわね 本当に」
「嬉しいわ 同じ様な境遇で悩んでいる方とお話が出来て」
「私もよ田所さんはでも今は神山様の秘書でしょ
そうすると 私と環境が違うでしょ」
「そうよ 若い子と一緒になって楽しんでいるわよ」
「でも 若い子って 二人なのに どうして?」
洋子は言葉に詰まっているので神山が
「まあ 僕のお友達ですよ 洋子も若返り
元の部署からも羨ましがられていますよ」
「そうなの ほんと羨ましいわね 私も誰かいないかしら
このまま年を取るより 田所さんのように楽しみたいわ」
神山は洋子の顔を見るとOKサインを出しているので
「絵美さん 定休日も同じですし時間を作って見ますよ
宜しければ私の家といっても借家ですがバーベキューでも如何ですか
勿論 翌日がお休みの時のほうがいいと思いますがね
あっ ゲストルームがありますからご心配なく
.