2011年2月26日土曜日

Vol.231 青葉 -4-18


奥村は予算を気にしていたが 予算内で収まりそうなので安心した
管理職は予算管理が主なる仕事で あとはおまけみたいなものだった
勿論 課員の動向も気にしなければいけないし管理も必要だが
余程酷い事件を起こしたとかなければ監督責任は問われない

「やあ 孝ちゃん おばんです」
「いらっしゃい 丁度よかった 照明が入りましたよ 今朝のも」
神山は18時過ぎまで催事課で仕事をし 上原の現場に直行した
「いいですね 思った通り柔らかい いい光線ですね」
「ええ 外光と調和して 商品が映えますね」
「あとは実際に陳列した時 どうかだね」
「そうですね 楽しみです」
「それから 孝ちゃん26日のゴルフOKだよ 正式に」
「良かったですね 胸を張って行かれますね」
「田代さんが可哀相だけどね 御殿場が始まったら行かれるしね」
「そうそう 今度はこちらがいかれないかもね」
ゴルフの話をしていると祥子が店内に入ってきた
「こんばんわ お世話になっています」
「やあ」
「いらっしゃい 久保さん」
「ふぁ~ 素敵なひかり やさしいひかりねっ 神山さん」
外光は青がかった色をしていて 商品が死んでしまうので
天井の照明で光の色を調整しなければならなかった
今日の祥子はベージュのパンツに白のTシャツ 
淡い藤色のジャケット姿だった
「久保さん ちょっとこっちに来て」
神山は窓際に居る祥子を壁面のほうに招き 光の色を確認した
「うん 綺麗にでるね このベージュが綺麗に出れば問題なしだね」
祥子も自分のパンツを見て 頷いた
「もしかして お店より明るいかもしれないわ」
「うん 明るさは照度と言うんだけど確かにあるね ねっ孝ちゃん」
「ええ でもほんの少しですよ 店でも光の色を考えてくれれば
もっと 明るく感じるでしょう
ちなみに今流行っているのは ピンスポットですが これは明るく
色もいいので 皆使い始めてきてますよ」
「そうだね 新宿伊勢仁とか高丸とか使っているね」
神山は祥子に気に入ってもらい満足していた
当初は もっと一般的な照明を考えていたが 日中外光を
取り入れる事に変更され 神山が提案した照明の色になった 
「孝ちゃん 晩飯は?」
「うん まだだけど どうします」
「現場は?」
「うん さっき食べたよ」
「出られる?」
「う~ん ちょっと難しいかな たまには2人でゆっくりしたら」
「そうします 明日は日曜日だけど 工程表どうり?」
「うん サインなど来ますよ 工程どおり」
「そうしたら 朝 立ち寄ります」
「朝までに綺麗になっていますよ お楽しみに」
「それでは」
神山は手を振ったが 祥子は深々とお辞儀をし店を出た
「さあ 祥子 どこに行く?」
「渋谷なんだけど 美味しい中華があるの そこでいい?」
「いいけど よく知っているね」
「ううん 貴方が御殿場に行った時 高橋さんにご馳走なったの
筒井も美味しいって 楽しかったけど 私は寂しかったわ」
神山は14日内藤夫妻 田代と4人で御殿場に行き楽しい
思いをしたが 祥子には寂しい思いをさせてしまったと思った

坂を下ると空のタクシーが来たので乗車して行き先を伝えた
二人だけで夕食するのは久しぶりなので 気分が高まった
中華料理店に入ると土曜日で結構賑わっていたが
丁度 夜景が見える窓際が空いたので 案内された
祥子が言うように店内は綺麗なつくりで 
ごてごてした飾りは無かった
神山もここはいいところだと 祥子を誉めた
神山と祥子は何にするか 決めかねていたが祥子が
「ねぇ 単品で少しづつ 頼んで 最後におそばはどう?」
「うん よし決めよう」
神山はウエイトレスを呼び 先にビールを注文した
ビールがくるまで 10品位候補を出し 彼女に注文した
料金も安く 親切なのでますます気に入った 後は味だけだった
ビールが来るとすぐ無くなるのでピッチャーも頼んだ
暫くすると テーブルの上は料理で一杯になった





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