「おう」
「由香里姫のライバル 増えましたね」
「おう そうだな しかし愛ちゃんだが
山ちゃんが昨年銀座に着ただろ」
「ええ」
「その前から 知っていたそうだ」
「上野時代からですか?」
「おう 何でも 愛ちゃん自身は上野担当ではないが
人が少なくて 応援で手伝いに行った時に困っていると
優しく適切なアドバイスで 仕事が早く済んだ事を言っていた」
「ほぉ~ そうするとほんと 由香里姫のライバルですね」
そんな話をしていると
ニーナ・ニーナの祥子が化粧室から戻ってきた
「しかし 奥ちゃん 大本命は彼女だろう」
「そうですね 上手く行けば筒井さんも喜びますしね」
「おう その通り」
そんな話をしている処へ神山がお酌をしにきた
「倉さん 課長 ありがとうございます 盛大にして頂きまして」
「おう がんばれよ」
「そうだよ 来年もがんばれよ」
「はい 来年はニーナ・ニーナやアルタが有るみたいで、、、」
「おう そうだったな まあ来年はオレに任せろ」
「はい そうします」
「おう しかし よくやった 嬉しいぞ なぁ奥ちゃん」
「ええ 私も鼻が高いですよ」
「ありがとうございます
ところで 実は店長を始め 皆様からご祝儀を頂きました」
「おう 良かったな 貯金しておけ なぁ奥ちゃん」
「ええ 将来の為に貯金しておきなさい」
神山は二人に対し 額が畳に付く位お辞儀をし
「これからも 頑張りますのでお願いします」
と 言うと 脇から内藤や店長 細川 筒井なども次々に
「こちらこそ 頼んだよ 山ちゃん」
激励の言葉を掛けられ 胸が熱くなった
宴たけなわそろそろお酒が廻ってきたのか 顔を真っ赤にし
男性も女性もアルコールのせいで熱くなったのか上着を脱いでいた
神山は大事なお金が入っているので我慢をして
ジャケットは着用したままだった
会場の顔色を見てタイミングよく市川が
「それでは 恒例の『お尻合いゲーム』を行います
真中のテーブルは片付けますので
お土産の方は仲居さんに申し出て下さい
くれぐれも ご自分の分だけでお願いしまーす」
(市川のスピーチは大した物だと何時も感心させられる
今回もこのようにざわざわしているのに タイミングがいい)
「尚 準備の為 少しお時間を頂きます
商品はこちらにございますので お好きなのを選んで下さい」
市川の案内が終ると 仲井達が一斉にテーブルを片付け始め
中には お土産にするからと申し出ている様子もうかがえた
この後は〆を行うだけなので
化粧室を利用する人が部屋から出て行った
ルールは簡単
くじ引きで決まった二人が背中合わせになり お尻を突き出し
相手の足を動かせば勝だが
女性にはハンデが有り2歩動いてもOKと
とんでもないハンデがあった しかし女性同士の場合はハンデなし
昨年の親睦会ではスーパーデコの細川社長が優勝している
勝ち抜き戦だが 女性のハンデは有効だ
「それでは テーブルも片付きましたので
対戦相手の抽選会を行います」
神山はこの時ばかりは 催事課の一員として動いた
杉田も大きな模造紙に対戦相手を書き入れていった
女性同士が当らぬよう抽選箱をわけ
神山は女性用の抽選箱を持って
皆の所を廻り 細川女史のところに来た
「どうしようかしら私 参加 やめようかしら」
「えっ どうしてですか」
「だって これ以上勝っちゃうとお嫁に行けないでしょ」
「大丈夫ですよ 尻に敷かれる良い旦那さんが見つかりますよ」
そんなやり取りを聞いていた廻りは 笑い出してしまった
全ての抽選が終ると
「今回は 不参加者なしです 皆さん凄い元を取るため必死です」
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