高橋も早め早めに手を打っているのだろうと考えた
高橋が奥から出てきて神山に
「遅くなりましたが 受賞おめでとうございます」
ペコリと お辞儀をした
「いや 大変だった みなに振り回されたよ」
「どうですか 駅前で」
「僕はOKだけど 筒井さん行きましょう」
「うん そうだね 久保君もいいだろ」
祥子はにこにこして 筒井にではなく神山に
「ええ お願いします」
「そうしたら 少しだけ時間下さい 大工に段取り話しますから」
「悪いね 邪魔して」
「大工も夜食だからさ 待ってて それとも先に行ってて」
「ああ 先に行ってます」
「了解です 直ぐ行きます」
筒井に話し先に駅前寿司屋に行く事にした
歩き出すと筒井が 神山に
「しかし タイミングよく3人で出られたものだ」
「えっ、、、」
「そうだろ 君たちが同じマンションなんて知っているのは
アルタの内藤社長と私だけだからね」
「そうそう 出るとき斉藤さんに理由を話していて気が付きました」
「別に皆ばらばらでも良かったが 二人一緒にタクシーに乗ると
久保君だけではなく 山ちゃんにも迷惑が掛かるからね」
「そうですね ありがとうございます 気を使ってくださり」
「ええ 私もどうしようか考えたんです 現場に夜遅く神山さんと
タクシー利用だとどうかなてぇ 社長からお話された時
本当に助かりました やましい事がなくても 由香里さんや
ご夫人もいらっしゃたし、、、
あっ それで内藤ご夫妻は早めにご退席されたんですね」
「うん 君たちが話しに夢中になっている時 社長と
段取りを決めたのさ だから内藤社長は最初から早く帰るつもりで
受付の女性を呼んでいたんだ」
「そうか 最後の清算をしなくてはいけないし そうか、、、」
「まあ あと女性の人数が少なく斉藤さんと久保君にも配慮した訳さ」
「そうですね 私も清算の事までは気がつきませんでしたが
確かに 由香里さんと私だけでは 可哀相ですよね」
筒井と神山は 祥子の肩を叩きながら笑った
「さあ 倉さん 主役が消えたところで 別の所行きますか?」
「おう そうだな ここからだと近いよな」
「ええ そうしたら 由香里姫 清算してきてください」
「あの ここの清算は私が内藤から指示されていますから、、、」
「いいのかな ねえ 倉さん」
「おう 内藤社長がそうおしゃっているなら そうしよう」
「小谷さん 私たちもう一軒行きますが 来られますか?」
「ええ 行きたいんですが 明日早いので失礼させて頂きます」
「おう 残念だな べっぴんさんとご一緒したかったな」
「また倉さん 少し酔ってきたわね」
由香里が大丈夫と聞いている時 杉田が2階に上がってきた
「おう 翔 もう一軒いくぞ」
「えっ もう出るんですか」
杉田はここで小谷ともっと話をしたかった
場所を変えるという事は 小谷とここでお別れを感じていた
清算を済ませ2階に上がってきた小谷に
「またお話ししませんか?」
「ええ 私 杉田さんのお話好きですよ 誘ってください」
「はい わかりました 必ず、、、」
二人が話し込んでいると由香里が
「はい若者 良かったね 小谷さん
この子はまだ半人前だから鍛えてね」
小谷はくすっと笑いながら 杉田を見ていた
「おい 翔 いつまでお見合いしているんだ 行くぞ」
「おう おいてくぞ」
「私 お見送りさせて頂きます」
お店を出てタクシーを待っている間 小谷は由香里と雑談をし
時々笑っていた 笑い顔が照明の灯りで一段と美しくした
車が来ると 前の座席に杉田が乗り 窓を開け小谷を見ていた
小谷も車が出るまで杉田を見て 杉田が手を振ると同じ様に答え
タクシーのテールランプが見えなくなるまで 手を振っていた
「え~ 何度も聞いて飽きたでしょが
受賞おめでとうございます 乾杯!」
「そんな 何度聞いても嬉しいですよ 一生に一回だろうから」
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