2011年2月23日水曜日

Vol.228 青葉 -4-18


「分った 先方には夕方と伝えよう」 
「倉さんは居ますか」
「今日は休みだけど なにかあった?」
「いや 翔をしかってもらおうと思って」
「はは だめだよ 翔は落ち込んでいて どっかに消えた」
「帰ったんですか」
「いや 帰ってはいない 翔のバッグが置いてあるから」
「了解です なるだけ早く帰ります」
「うん たのみます」
奥村との電話を終えると これからの季節に必要な洋服や靴などを
ダンボールに入れ 宅配便を扱っている店に出しに行った
部屋に戻り時計を見てみると15時になっていた
冷蔵庫からビールを取り出して呑み
横になって考えていると寝てしまった

携帯電話がなり 慌てて起きた 杉田翔からだった
「先輩 すみません 怒っていますよね」
神山は時計を見たら16時になっていた
「うん 凄く怒っている 今考えている所だ」
「すみません だけど大げさに言っていないですよ 僕は、、、」
「まあ あとでな ゆっくり聞くから」
神山は電話を切ると周りを片付けて直ぐに着る洋服類を
紙バッグにいれ 部屋の中をもう一度見回した
窓を閉め換気扇を止め部屋を出て 交差点まで来た時に
荷物があるので電車を使わず車で行く事にした
神山は上原のマンション経由で 銀座に行った
部屋に入ると 由香里が近づいてきて
「会議室で待っているわ 翔も一緒よ」
「わかった ありがとう」
いったん席に荷物を置いて会議室に行こうとした時 奥村が
「山ちゃん 頼むよ」
両手を合わせ お願いした
「分りました」
会議室に入ると翔とブティックの部長が無言で向かい合っていた
「あっ 先輩 ありがとうございます」
「どうもお待たせいたしました 神山と申します」
神山は名刺を差し出しながら 礼をした
(あれっ 何処かで会っているな、、、)
先方も名刺を出し 首をさげた 
「さあ どうぞ それから 杉田君 君はいいよ ありがとう」
「大変お待たせいたしました 今回はご迷惑をお掛けしました」
神山が挨拶をしていると 部長が 
「神山さん 上野店に居られませんでしたか?」
「ええ 上野には長く居ましたが なにか?」
「やっぱり ほら8年程前 一階の改装工事 大掛かりな
あの時にお世話になった 矢部ですよ」
「ああ うちのハンドバッグ什器を間違って本社に
もって帰り 廃棄した あの時の ああ 思い出しましたよ」
二人は8年前を思い出し笑った
上野店の改装工事の時 
ハンドバッグ売場の什器を自社持ち込み什器と
間違え 会社に持って行き 廃棄処分をしてしまった
当時 担当だった神山は出てきた什器を補修し 
他店での再利用計画の事務手続きをしていたが員数が合わず
発覚した事件だった
「そうですね あの時はびっくりしましたよ
どうしても10数台足りなくなり うちの取引業者に
間違って持って行っていないか 何度も聞きましたからね
あの時の矢部さんでしたか」
「あの時は 本当にすみませんでした ちゃんとチェックしていた
つもりだったんですがね 済みませんでした」
「それより今回は済みませんでした 間違った什器で」
「でも杉田さんに伺った処 神山部長のアドバイスとの事
コレは売場展開やイベントで使えるなと思いましたので、、、
現在 売場では上野で展開していた方法なんですが
いまいち 今日の陳列のほうが売れる気がするんですよ
現に 130%の出来です 16時〆でですよ」
「うん 分りますが 売場の設計は催事課では出来ないんですよ
勿論イベントの時はうちが担当ですがね 
しかし 矢部さんも分ってくださると思いますが
全て経費予算なんです」
「わかりました 売場に付いては一度 雑貨部長と相談します
イベントの時は 何とかなりませんか」
「はっきり申し上げますが 戻入でできます





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