ボーイは神山と久保に対して深々とお辞儀をした
「ところで このフランスパンって どこから仕入れているの?」
「本当はお教えすることが出来ないんですが、、、
実は鈴やさんで買っているんですよ」
「えっ 鈴やで、、、買っているんですか、、、」
「内緒にしてくださいね お願いします」
そう言うと ボーイは再び深々とお辞儀をして戻っていった
「えっー うちで売っているんだって 参った ははは」
「まぁ 灯台下暗しですね ふふふ」
「ほんと でも聞いて良かったよ こんなに美味しく食べられる」
「そうね 私も頭に入れておきます モッツァレラと相性抜群」
「でもモッツァレラって うちでも売っているのかなぁー」
「聞いてみますか?」
「いや 聞かないよ もう恥じをかきたくないもんな」
「けっこう 鈴やさんだったりして」
「かもね 可能性大だよ 僕が上野に居た頃は確か無かったと思う
でも 食文化が少しずつ変わっているから 分からないね
けっこう 銀座店にあったりしてね ははは」
「モッツァレラの美味しいのが 赤坂にあるのよ
でもみんな知っているから 直ぐに品切れになるそうよ」
「そうなんですか モッツァレラってそんなに違うんですか」
「うーん クリームの配分だと思う」
「へぇー 良くご存知ですね」
「まぁ私も少し知っているだけよ 専門家に怒られる ふふふ」
二人がモッツァレラやフランスパンで盛り上がっていると
奥のステージのほうでカラオケが始まった
「始まりましたね 久保さん 何か歌いますか?」
「今日はここでのんびり聞いています 神山さんこそ歌って」
神山はボーイを呼ぶとカクテルの御代りとカラオケを注文した
ここビーンズではカラオケにちょっとした工夫がされていた
一曲歌うのに1000円かかるが 歌い終わった後の拍手や
歓声で点数が表示され 1000点満点出ると無料になる仕組み
いくら下手な人が歌い点数が低くても その後マスターが
お客さんを笑わせると点数がどんどん上がるようになっている
なので 音痴の人ほど点数が高くなり 支払い金額が安くなる
神山も先日挑戦した時には やはりマスターの助けで安くなった
だからといって 同じ人が何曲も続けて歌うことはしないで
お客に順番に歌わせることや 時間を空けることなど
その場の雰囲気でマスターが調整をしている
「えー ありがとうございました 次は神山さまどうぞこちらまで」
神山は呼ばれると久保にVサインを出してステージに向かった
「いらっしゃいませ 神山さま あれっ先日も来られましたよね」
「ええ お邪魔しました ありがとうございました」
「ああっ 思い出しました ジュリーの歌で700点出されて」
「そうです そのあとマスターのお陰で 100円ですみました」
神山がニコニコと受け答えをしていると 客席からは早くも
やんやのかっせいが飛び交い すでに点数が上がっていった
「あらら 点数がこれだけ上がっちゃいましたよ
もう今夜は気が楽ですね」
点数ボードは600点を表示していた
「ところで 今夜は再度ジュリーに挑戦ですか?」
「ええ お願いします 今夜は頑張りますよ」
「そうですね 先日は若い男性が応援していましたが
今夜はどこかの女優さんかモデルさんとご一緒ですね
ここでいいところ見せないと 男がすたります
さあ今夜は ジュリーの勝手にしやがれ でーす どうぞー」
名司会の紹介で神山は歌を歌い始めると 客から手拍子も出て
順調な滑り出しで 歌うことが出来き無事に終了した
「ありがとうございましたー さあ皆さんの拍手をお願いしまーす」
客席から拍手や歓声が上がり ボードの点数が920点までいった
「神山さん やりましたね おめでとうございます」
「毎回 助けて頂いて ありがとうございます」
「いやいや 今夜は曲自体も良かったですよ
そうそう 今夜は特別にプレゼントがあります
900点オーバーされた方には当店の割引チケットを
差し上げています どうぞお帰りの時にご利用ください」
「わはぁー そんなにして頂いて ありがとうございまーす」
神山は両手をあげて客に挨拶をすると
マスターからチケットを渡され 席に戻った
「神山さん お上手 おめでとうございます」
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