2010年7月15日木曜日

Vol.1 出会い-1-1

平成10年4月3日 金曜日 快晴

「あれっ もしかして久保さんですよね 神山です こんばんわ」
「あら 神山さん こんばんわ お花見ですか」
「ええ 土日は込むでしょ お花見どころじゃないから」
「神山さんは確か昨年4月に銀座に来られたんでしょ」
「ええ 人事異動で 上野から花の銀座ですよ」
「まあ 花の銀座なんて でもなぜ上野に来られたんですか」
「ええ 上野店の連中が是非と言うもんですから」
「ふふ まだ心は上野のままですか 早く銀座に慣れて下さい」
「ははは すっかりお見通しですね 徐々になれますよ」

神山龍巳は名古屋に本店がある百貨店鈴やのエリートサラリーマン
入社は昭和51年度入社で 14年目36歳の若さで課長昇進は
同期の中でも群を抜いて早い抜擢である
役職は販売促進部催事課装飾専門課長で 百貨店催事の企画から
店内装飾のデザインや 外交的なことも行っている

入社しその抜群な能力を買われ一時営繕課デザイン業務も携わった
今夜の花見は上野店営繕課当時の仲間に誘われて参加した

「久保さん お仲間はどうされたんですか?」
「ええ 一人おトイレに行ったきり 帰ってこないので、、、」
「そうか 心配ですね 迷わなければいいですね、、、」
「神山さんの方は?」
「ええ 盛り上がっていますが 早々に引き上げです
若いのと一緒だと からだが幾つあっても足りませんよ」
「そうよね ほんと若い子は良く呑んで騒いで こちらも大変」
「またー 久保さんだって まだまだ若いですよ ほんと」
「まあ お上手ね でもありがとう 嬉しいです ふふふ」

二人で話し込んでいると おトイレから戻ってきた浜野由貴が
「チーフ ごめんなさい お待たせしました                      
あれっ 神山さんだぁー こんばんわ」
「やあ 浜野さん こんばんわ 盛り上がっているんだってね」
「ええ でもそろそろ帰ろうかって 話をしていたところです」
「そうなの 私 何も聞いていないわよ」                       
「ごめんなさい チーフ 私の後におトイレに来た林さんも
そろそろ 引き上げましょうかって そう言われてました」
「そうなの そうよね 女3人だとつまらないものね」

それを聞いていた神山龍巳は
「なんだ 女3人で桜見物なの?」
「ええ そうなんですよ 最初はもう少し居たんですよ
でも 色々とありまして 早々に引き上げていきました」
「そうかー それだったらこれから呑み直しをしようよ どう」
「わぁ 神山さんとご一緒できるんですかチーフ行きましょうよ」
「まあ 目を輝かせて いいわよ でも林さんはどうかしら」
「大丈夫ですよ 神山さんの大ファンですよ 
チーフ 知らなかったんですか?」
「まあ そうなの だってあの人いっぱいファンの人居るでしょ」
「でも 神山さんは別格の大大ファンですよ」
「私はいいわよ 神山さんよろしいですか?」
「ええ 両手に花なんて 初めての事ですから 嬉しいですよ」
「まあ お上手」

3人が話していると林恵美がおトイレから戻ってきて
「チーフ すみませんお待たせしました
あら 神山さん こんばんわ お花見ですか」
「ええ していましたが 早々に帰ろうと思っていたところです」
「まあ 偶然ですね」
「それで浜野さんから聞いたのですが お開きにするんだったら
この近くで 呑み直そうと話していたんですよ」
「いいんですか 私なんかがご一緒でも、、、」
「そんな 周りに女性って 初めての経験ですから ははは」
「店長 そんな事言わないで ご一緒しましょうよ ねっ」          
「チーフは、、、」
「私は大丈夫 林さんや浜野さんは大丈夫? 時間も遅いし」
「大丈夫ですよ 電車がなくなったらタクシーで帰りますし」
「まあ 元気 ははは」
「それでは 話は決まったね では行きましょうか」


久保と神山が前を歩く形で広小路通りを歩くと





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