「うん 行って来る しかし派手だなぁー」
「ははは おいみんな 拍手だぞ」
若い子達は 金子に言われる前から 拍手をしていた
ステージに立つと 司会者が
「こんばんわ 神山さん 今夜の調子はいかがですか?」
「ええ 絶好調ですよ」
「今夜はジュリーの歌を歌ってくださるようですが
ジュリーより格好いいですね」
「ええ まあ でもやっぱりジュリーでしょ」
「はい 分かりました 頑張ってくださいね」
マスターが紹介し終わると イントロが流れだした
出だしは良かったが 途中で歌詞を間違えてしまい
失敗を考えている間に カラオケは終わった
「神山さま ありがとうございました 一箇所間違えましたが
歌自体は 大変お上手でしたよ」
「ええ 少し緊張して はい」
「では早速 拍手を頂きましょうか どうぞ」
歌い終わった時点で700点だったのが どんどんとあがり
「神山さま 900点出ました おめでとうございます
これでカラオケ代が 100円になりました」
「ああーなるほど こちらこそありがとうございます」
神山はマスターにお辞儀をすると金子が待つ席に戻った
「山ちゃん お上手 さすがだよ」
「ははは 一箇所とちっちゃったよ」
「愛嬌だよ 900点とったから千円から引くから百円ですんだ」
「面白い企画だね これなら誰でも楽しめるね」
「うん カラオケもマスターの気分で行われるんだ」
「ふーん そうなんだ」
「だから一人で何曲も歌えないしね」
「ふーん ますます面白いね」
神山はこれからいい女性ができたら是非連れて来ようと思った
ステージよりのスペースではチークダンスが始まった
「ははは さすがに男どおしでは踊れないな」
「山ちゃん お相手しましょうか」
二人は顔を見合わせ大笑いをした
「いやー楽しかったよ 山ちゃん 最後までありがとう」
「ははは 何言っているんだよ まだまだ会えるじゃないか
それより今夜はどこに泊まるんだよ」
「うん 今夜は若いのと一緒に サウナに泊まるよ」
「そうか 俺のところでもいいぞ」
「ははは 男同士は勘弁してくれよ」
「ははは そうだな」
「うん」
「じゃあ なにかあったら電話くれよ」
「うん 山ちゃんも電話くれよ かあちゃん喜ぶからさ」
「そうか 分かった 電話するよ」
「うん」
「じゃあ」
神山と金子はまだ話したいことが一杯あったが
お互いの目を見て 握手をして分かれた
神山がタクシーに乗りマドから
「がんばれよー」
と叫んだが 金子は頷くだけだった
タクシーが発車すると 金子や若い子たちも一緒に手を振っていた
神山は時計を見ると26時を回っていた
4月2日 木曜日 快晴
神山は7階催事場で催事の立ち上がりを確認していた
「山ちゃん おはようさん」
「課長 おはようございます」
「昨夜は盛り上がった」
「ええ タクシーで帰宅したんですが 泣いちゃいました」
「うん 寂しいよな 仲良しが居なくなると」
「ええ 少し辛いですね」
「ところで ここは大丈夫?」
「大丈夫ですよ 什器も過不足ないし 商品も揃っていますよ」
「うん わかった それじゃあ 下に行こうか」
「ええ」
鈴や銀座店は7階が大催事場で 地下に食品催事場がある
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