2010年7月23日金曜日

Vol.12 出会い -2-2

それで 山ちゃんの力が欲しいんです」
「そうだな そうすると御殿場も山ちゃんがメインで見るか」
「そうなってきますね なにしろデザイン感覚は抜群ですからね
あっ 倉さんも抜群ですよ」
「おう 付録でもいいが そうだな 外が絡んでいると
出来るのは山ちゃんしか居ないだろうな いまのところ うーん
聞いた話だが あの竹本工務店も舌をまいていたよ」
「へぇー その話は初耳です」
「おう 上野のとき一時期 営繕でデザインをしていただろ」
「ええ 知っています」
「あの時 外壁工事があって 外壁の色を決める時に
山ちゃんが 竹本のデザイナーに意見して 色を変えたんだとさ」
「へぇー 凄い事をしますね」
「おう なんでも机上の計算では駄目だといってカラーサンプルを
大きいのに変更して 日中や夕方 雨の日や曇り 色々と
見え方を調査したらしいんだ それで山ちゃんの案に決まった」
「へぇー 努力家でもあるんですね」
「おう 信念を持っているから 出来る業だよ 俺も感心した」

「おじゃまします」
女将の声が聞こえると襖がゆっくりと開き
「お待たせいたしました 鮮魚のおつまみをお持ちしました」
「おう ありがとう」
「握りは暫くいらないですね」
「おう 悪いな」
女将は両手をついてお辞儀をして 部屋から出て行った

「ははは 女将もびっくりのエイプリルフールだな」
「嬉しいエイプリルフールですね ははは」
「おう そうしたら うちの翔もそろそろ課長に
成らないといけないから その線で押してみるか」
「ああ 杉田君ですね そうですね 彼も同期でトップでしょ」
「おう 翔もあと2年くらいで課長だからな うーん」
「倉さんがしっかりしているから 2年で大丈夫でしょ」
「おう 少し甘いところがあるがな」
「幾つですか」
「確か 今年33だったと思う」                                 
「そうすると 35で課長だと山ちゃんより早い 凄い」
「山ちゃんは いくつで課長だ?」
「彼は36ですよ 14年目ですね」
「そうか そうしたら翔の独り立ち作戦だな」
「倉さん お願いします」
「おう 任せなさい 大丈夫だ」

杉田翔は22歳で銀座店入社し催事課の装飾デザイン担当係長で
入社以来装飾デザインを歩んでいる            
進級も神山と同じように早く 同期の中でもトップにいる
仕事面では 神山がきてから少し甘えているところがあり
今ひとつ力を出し切れて居ないところがあった
原因として それまでは倉元に色々と勉強させられていたが
神山との年齢差でお兄さんが出来たからだと言われている

倉元としてもこのままでは杉田の芽が出ないと思い
普段から 何かいい案はないかと考えていたところだった
神山に比べると 詰めの甘さがあり その部分では
倉元にも責任があると感じていた

「おう 筒井ちゃん 携帯もっているか」
「ええ 持っていますが、、、」
「そうしたら アルタの佐藤さんに電話してくれ 代わるから」
筒井は言われたとおり アルタの佐藤部長に電話をした
「はい 佐藤ですが」
「ニーナ・ニーナジャパンの筒井です」
「やあ こんにちわ 如何ですか?」
「ええ 今 倉元部長と話をしまして OKを頂いたんですよ」
「おぉー 良かったですね」
「ちょっと待って下さいね 代わります」
「おう 佐藤君か」
「ご無沙汰しています お元気ですか」
「まあな ところで 筒井ちゃんから話は聞いた
そこでだ 課長に筋話さないとつぶれるぞ」
「ええ こちらも困っているんですよ」
「おう 今夜8時ごろ 銀座に来れるかな」
「はい 分かりました 伺います 場所は四季でよろしいですか?」





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