4人はグラスを差し出し乾杯をした
「おう 奥ちゃん 日本酒を頼んでくれよ もうビールはいいや」
「ははは そうですよね お昼から紐が切れたトンボですよね」
「おいおい 大事な仕事の話だぞ こらっ」
「はいはい ちょっと待って下さいね」
奥村は直ぐ傍にある電話で日本酒の注文をした
「それで 具体的にはどう進めますか 佐藤さん」
「ええ 筒井さんとも話しているんですが 上原のマンションの
賃貸借をニーナ・ニーナさんで行っていただき 私どもは
備品類のご提供をさせていただく段取りで進めています」
「大丈夫ですか 筒井さん」
「ええ 経費的にも環境的にも大丈夫ですよ
それに今 うちの久保君が居る事で 処理上やりやすいです」
「そうすると横浜の家賃か、、、」
「奥村さん 横浜は私どもが負担しますよ
横浜店がありますので 事務処理上問題ありませんから」
「そうですか 大丈夫ですね」
「ええ 横浜にも連絡はしてあります」
「分かりました あとは出向ですね 問題は、、、」
株式会社鈴やの決算は本決算が2月末日で3月から新しい期になる
それに伴って 4月1日に人事異動が発令される
今回の場合 準備を円滑に進めても最低8月末日まで動かせない
社内規定があり 奥村はタイミングが悪いと悩んでいた
「おう 店長は俺から話すから 副社長の時田さんは どうだ
普段顔が売れている 奥ちゃんが直談判したら」
「そうですね それしかないと思うんですよ」
みなが考えているところに女将が日本酒を持ってきた
「おう ありがとう ははは 助かるな なあ筒井ちゃん」
「ですね」
女将が倉元と筒井にお酌して 引き上げるとアルタの佐藤が
「奥村さん 私のところにも出向ってどうですか?」
「えっ アルタさんに出向ですか、、、」
「ええ 実際は上原の事務所で働いてもらいますが
便宜上それが可能であれば 構いませんよ」
「おう いいアイデアだ そうしたら内藤さんに一肌脱いで貰って
管財の西野理事を巻き込んだらどうだ 仲がいいだろう」
「うーん そうですね 話が大きくなりますね、、、」
「おう 西野理事だったら 時田さんも話を聞くだろう」
「ええ あの二人も仲良し組ですからね」
「じゃあ決定だ おう佐藤君 内藤さんに電話して頼んでくれ」
「はい 分かりました」
アルタの佐藤は携帯電話で内藤に電話すると
「分かりました メリットでデメリットは無いですね」
「ええ 大丈夫です 山ちゃんの事ですから 働いてくれますよ」
「彼の評価は充分すぎるくらい 知っていますし いいですよ」
「はい ありがとうございます」
佐藤が電話を切ろうとした時に 奥村が代わった
「鈴やの奥村です すみません 夜分にお電話をして」
「やあ お久しぶりです 構いませんよ
それで銀座には明日午前中に伺えばよろしいですか?」
「副社長のスケジュールを確認しますので 改めて電話します」
「はい お待ちしています 頑張ってくださいね」
奥村は秘書室長に電話をして スケジュールを確認した
「OKですよ 佐藤さん 内藤さんには私からしましょうか」
佐藤は内藤社長の電話番号を聞き架電をした
内藤も直ぐにOKし午前中に銀座に来る事が決まった
「おう よかったな これで全て丸く収まったな」
「倉さん まだこれからですよ もう」
「おう でも決まったも同然 喜ぶ顔が見えるな
ところで 本人は残業をしているのかな」
「いいえ もう帰ったでしょ なんでも上野店の営繕課で
歓送迎会があり その2次会に呼ばれていると言ってました」
「そうか 人気モンだな ははは」
「奥村さん 金子君でしょ 移動は」
「ええ 機械係に新人が入社したのと 熱海寮の寮長が体調不良で
長期療養になったんですよ 今までは人を雇って
なんとかやり繰りしたそうですが ほら機械や電気の事が
とんと分からない人で 奥さんも困っていたそうです」
「それで 金子君に白羽の矢が立ったわけですね」
.