2010年7月29日木曜日

Vol.19 出会い -2-2

毎週水曜定休なので火曜日に催事の模様替えを行うが
今回はイレギュラーで 7階はクローズして火曜日から準備
地下催事場は 昨日模様替えを行った

地下催事場に行くと杉田翔が開店準備の手伝いをしていて
神山と奥村がきたことに気が付かなかった
「手伝いは良い事だけれど 自分の仕事は大丈夫かな」
「ははは 課長 大丈夫でしょ 言ってきますよ」
神山は翔の背中をポンとたたき
「飾りつけは 大丈夫か?」
「あっ先輩 驚かせないでくださいよ 大丈夫ですよ
ただ 桜の取り付けが予定より多くなって 困っているんですよ」
「なんだ 食品課長と打ち合わせしたんだろ」
「ええ 急遽一こま増やしたんですよ」
「そうか 倉庫にも無いのか」
「ええ 昨夜探したんですけれど 無かったです」
「鈴やサービスの高橋さんには聞いた?」
「ええ 今 事務所の奥に多少あるって言うので頼んでいます」
「うん そうしたら造花を手配したほうがいいな 多少でもあれば」
「そうですね」
「こんどの土日がピークだろう 言われると多少寂しいな」

神山と翔が話しているところへ 鈴やサービスの高橋哲夫がきて
「山ちゃん おはようございます」
「やあ ご苦労様 急遽のことで 悪いね」
「いやいや もう慣れていますから
翔ちゃん これだけしかないよ それに種類が違うよ」
「哲さん そうしたら この柱をこれだけに纏めようよ
それで外したのは 当初予定通りにしよう 間に合うよね」
「そうしましょ その方が可笑しくないし
おーい バイト 仕事だぞー」

二人のやり取りを見て神山は少しは成長したなと思った
神山も見ていないで造花を手渡ししたり 手伝いをした

作業が終わると 神山が
「翔 この方が全然いいな 追加したところは 食品が違うし
かえってこの方が 訴求力があって面白いよ」
「そう言われれば そうですね 桜祭りでも ここは違うよって」
「そうそう そうしたら 看板もこの通路に移動したほうがいいな
ほら その方が正面から見やすいだろ この通路は 向こうから
桜が見えるけれど ここはなんだか分からないだろ」
「はい 先輩 さすがー」
「冗談はいいから 早くやれ」
神山の指示したところに看板を移動すると確かにエレベーターから
降りてきた客に看板が見えるようになった

店が開店すると 神山と翔は近くの喫茶店に入った
「先輩 ありがとうございます」
「翔 実はあの桜な 7階の桜なんだよ」
「わぁー いいんですか 使っちゃって」
「うん この時期桜って 造花屋でも不足するだろ
だから少し余分に注文してあるんだよ」
「なるほど それで哲さんもニヤニヤしていたんだ なんだ」
「ははは だから秋の紅葉は少し余計に注文することだね」
「そうそう 先輩 夏のリーフが使っていないのが出てきましたよ」
「ああ 2袋か3袋くらいだろ」
「ええ あれは今年使いますか」
「あれはね 発色が少し暗いんだよ だから使っても
アクセントで少し混ぜる程度だね
よかったら 地下の催事場で使っていいよ」
「そうか そういえば少し黒っぽかった どこで使えるかなー」
「まあ あることを覚えておけばいいよ」
「先輩 今日は公休でしょ お昼食べて帰るんですか」
「うん そうしようと思っている」
「それから 昨夜ですが うちの課長と倉さん 筒井さんと
多分アルタの佐藤部長が四季から出てくるところを見たんです」
「えっ アルタの佐藤部長が、、、」
「ええ ほら倉庫に行くのに鍵を借りに行ったんですよ
その足で 事務館のウラに回ろうとしたら 4人を見たんです」
「何時頃だ」
「確か10時過ぎですよ」
「なんでアルタの佐藤さんが」
株式会社アルタは施工業者で 催事課では殆ど使わない業者で





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